『自分の弱さと向き合う』

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松岡修造

自分の「弱さ」と向き合えば、僕たちはもっと成長していける。自分の弱さと向き合うときに、注意してほしいことがひとつあります。それは、他人と自分を比べないことです。「あの人みたいに強くなりたいな」と思える身近な人を目標にして頑張るのはいいけれど、その人と比べて「自分はダメだ」なんて思ってはダメ。

とくに、まわりから高く評価されている人たちと自分を比べてはいけません。スポーツや勉強が常にトップの子、仕事が抜群にできていつもほめられたり表彰されたりしているような人たちは、華やかな“表サイド”ばかり目に入るため、「こんなにすごい人がいるのに、自分はダメだ…」と、どうしても比べてしまいがち。
自分のやったことがみんなに注目されないと頑張った感覚が持てない、という人もいるでしょう。また、うまくいっていたときの自分と比較して、いまの自分を否定したくなってしまうこともあるでしょう。
もう、それはやめませんか?周囲の評価とは関係なく、みんな一所懸命に頑張っている。そこは平等なんだという意識でいるほうが、自分自身の心の状態を、より正確にとらえることができる。

成績がいい、何かの賞を獲った、社会的に高いポジションにいる、といった人たちだけが「強い人、成功者」なのでしょうか。僕は、そうは思いません。テニスの現役を卒業してから20年がすぎました。その間にいろいろな方々とお会いしてきたなかで、「本当の意味での人の評価は、目に見える成功だけでは測れない。いちばん大事なことは、その人がどう生きているかなんだ」と、心から思うようになりました。

世の中には、地道にがんばっているのに結果が出ず、評価されない人たちがたくさんいます。たとえば、早朝から部活に出ていき毎日欠かさず練習ノートを書いているのに、いつも1回戦で負けてしまう子供たち。勉強や仕事に一所懸命取り組んでいるのに、トップになれず、目立たない人たち。能力はあるのに日の目を見るチャンスに恵まれない人たち…。
ひょっとしたら、「自分は弱い、ダメだ」と思い込んでいるかもしれません。でも、地道な努力を続けることは、それ自体人間としての強さであり、僕から見ればすごいことをやっているんです。みんな、それぞれに「人生のチャンピオン」!僕は心から尊敬しています。

人と自分を比べず、いま、この時に自分のベストをつくす…。そういう人たちを、僕はこれからも応援し続けます!
弱さをさらけ出せる人は、実は強い人だ。逆に、弱さをさらけだせずに、強がっている人は、本当は弱い人。強がっている人は、「虚勢をはる」「ツッパる」「背伸びをする」「カラ威張りする」「見栄をはる」人だ。
自分の弱さをさらけだせる人は、たとえば、自分の失敗をネタにできるような人だ。失敗を隠さずに、それをネタにして笑いをとるような人。失敗を隠す人は、見栄をはる人。

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