『マナーを身に着ける』

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中谷彰宏

「自分らしさ」を出したいと思うなら、まずそのベースとなるマナーを身につけることです。サラリーマンは、どうしたら人に嫌われないようにできるかを考えて行動することがマナーです。落語家の世界は、前座→二つ目→真打と昇進します。前座の間に覚えなければならないことは、噺ではありません。マナーです。

学生時代と社会では、人とのつきあい方が違います。学生時代は、好きな相手とだけ一緒に過ごせます。社会に出ると、そりが合わない人、話が通じない人、価値観の違う人、文化的なバックグラウンドがまったく違う人と、好きにならならくても、嫌われないようにつきあわなければなりません。人から嫌われないために必要なのがマナーです。最低限のマナーがあることが大切です。

マナーがないまま「自分らしさ」を押し出していくと、ただの嫌われ者になってしまいます。それが我を張るということです。「私が、私が」と行くのは、マナーを教わっていない人です。マナーとは、ひと言で言うと、いかに「私が」を抑えられるかです。お辞儀の角度が何度ということではありません。みんなそれぞれ「私が」と押し出したい気持ちはあります。それをマナーでグッとオブラートに包む技を持っておかないと、本当の自分のよさを見せる前に「なんが頑張ってイタイよな」と言われます。「あいつは、あれがなければいいのにな」と言われる存在になってしまうのです。

よく「紹介してください」と言う人がいます。マナーの悪い人は紹介できません。少なくとも最低限のマナーを持っている人でないと、「なんて人を紹介したんだ」と、紹介した人間は信頼をなくします。
チャンスをつかめる人は、紹介してもらえる人です。ワンステージ上の人と出会うことでチャンスはつかんでいけます。紹介してもらえるかどうかの差は大きいのです。そのためには、ワンステージ上の人に失礼がない、嫌われないマナーを身につける必要があります。

頑張っているのにうまくいかない人は、マナーを身につけていないのです。嫌われないマナーのいい人は、何かしくじった時でもまわりがみんな安全テントになって助けてくれます。50代になっても、マナーを知らない人がいます。マナーを身につけることが、おむつが取れるということなのです。

スポーツの世界で言えば、監督に好かれなければ、どんなに技術があろうが、パフォーマンスで目立とうが、試合では使ってはもらえない。これは、会社や社会においての、上司や社長、先輩などにたいしても同じだ。
マナーとは、行儀や作法のことをいうが、これは人から嫌われないための礼儀作法。そして人から嫌われないために、この礼儀作法と同時に大事なのは、笑顔や、愛ある言葉(愛語)、そして愛嬌。
いくらマナーがよくても、仏頂面だったり、不愛想だったり、不機嫌だったら、誰も相手にしてくれない。

人から好かれれば運がついてくる。マナーを身につけて、運を呼びよせる。

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