『遅刻してくれてありがとう(下)』

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トーマス・フリードマン

加速する時代の「脅威」とその対処法。
これまでは超強力になった個人や集団が、その力を“創造者”として建設的に使う例を述べてきた。しかし、前にも触れたように、おなじテクノロジーが、超強力な怒れる男女──“破壊者”を生み出している。いまは創造者にとってすばらしい時代であるとともに、破壊者にとってもすばらしい時代だ。なにかを大規模に破壊したいとき、いまこそその時代だ

今、世界は統合へと向かっており、そこではさまざまな摩擦がなくなることが予想される一方で、脆弱性も懸念されています。創造者の力がスーパーノバで増幅されたことについては前述した。しかし、おなじエネルギー源は、聖戦主義者、北朝鮮などのならず者国家、怒れる一匹狼、サイバー犯罪者が、超大国や超強力な創造者と争うことを可能にした。そして、攻撃される範囲は大幅にひろがっている

崩壊しかかっている国はほとんどといっていいくらい、国境が直線になっている。90度をなしている国境線は主として、19世紀の帝国の版図か植民地だった国の顕著な特徴だ。こういった国境線は、民族、宗教、人種、部族とは無関係に引かれ、地形すら考慮に入れられていない

「自分が日陰を利用できないとわかっていながら老人が木を植えると、社会は偉大になる」という作者不明のギリシャの諺がある。セレブのリーダーは、そういう日陰をつくらない。目の前の満足を追い求める。だから、いまの私たちは、“~からの自由”を確保する一方で、“~をやる自由”を打ち立てるのに失敗する社会が増えるのを、目の当たりにする可能性が高い

1350万ドルの奨学金はレバノンの国力を高め、アメリカとの友好関係を深めて、安定に貢献する──13億ドル相当の戦車とジェット戦闘機よりもずっと役立つと、コラムに書いた。いいかげんに愚行はやめるべきだ。女性の半分、男性の4分の1が読み書きができない国──エジプト──に戦車やジェット戦闘機をあたえて、いい結果になるはずがない

自然はシステムのなかにシステムがある入れ子状の仕組みでできている。個々のシステムは1つに統合されていると同時に、もっと大きなシステムの一部でもある」。生命体は「戦闘ではなくネットワーク化することで、地球を支配するようになった」──生態系同士がネットワークとして結びつくことで当事者意識は自力推進でもあり、レジリエンスの重要な構成要素を成している

「たまには飛行機の主翼がもげることもあります」ジェイコブズ市長はいう。「でも、人々はそれを受け入れるでしょう──宇宙へ行こうとしているのだと思ってくれれば。私たちは正しいことをやろうとした。コミュニティはそれを快く認めてくれました。些細な失敗をマスコミにこきおろされるのをつねに怖がっているようなら、いいことを教えてあげましょう。進歩は断続的にぎくしゃくと起きるものです。……
最初のロケットが爆発したとき、人々がそれを受け入れなかったら、宇宙開発はぜったいに実現しないでしょうね」

不安定な時代に、われわれが楽観主義者でいるために何が必要か。
加速の時代にレジリエンスと推進力を生み出す理想的な政治単位は、健全なコミュニティだ。コミュニティのレベルのほうが信頼を生み出しやすいし、信頼は柔軟性と実験を強化するからだ
コミュニティと個人の関係について。信頼こそが、すべての健全なコミュニティの基盤なのだ。私たちは表土から栄養をもらっているのだから、表土に栄養をあたえなければならない

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