話し方の癖に注意

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和田裕美

意外と盲点なのが話し方の癖。ちょっとした言葉遣いや、僅かなニュアンスの違いで、相手をカチンとさせたり、知らず知らずのうちに周りに煙たがられることがある。怖いのは、多くの人がその話し方の癖に気付いていない事。

たとえば、上司が提案したアイデアに「いいと思います。鈴木課長っぽいですよね。」あるいは部下が提案した企画に「いいと思うよ。想定通りだった。あなたなら、そう来ると思っていた。」などと言ってしまうと、相手はカチンと来てしまう。
言葉の裏に「自分はあなたよりも分かっている。」といった奢った態度が見え隠れするからだ。「人を認めるのが嫌だ」と言っているも同然だ。

いつも周囲を和ませて社内でも人気がある人には話し方に、どのような癖があるのか。上司が提案したアイデアに、「わぁ素晴らしいです。こういう発想があるのですね。新しい発見です。」あるいは部下の提案した企画に「すごくいいと思うよ。想像を裏切る素晴らしい出来栄えだね。正直、驚いたよ。すごいじゃん。」なんてことを言います。
自然と相手を立てる言い方ですね。言われた方は気分が良くなるので、何かあると相談を持ち掛けるようになります。人も仕事も自然と集まり、そういう人は出世も早い。

相手への不快感や相手を責めたい気持ちがある時は、ダイレクトに不平不満を口にしていなくとも、余計な一言をつい言っていることがある。例えば、先輩社員が新入社員に「あなたみたいな新人さんが入ったから最近忙しくなったなぁ」という言葉。本人はちょっとした愚痴や冗談のつもりでも相手が敏感な人だったら「あなたがいない時の方が楽だった」「ミスが多いからフォローが大変で困る」「あなたなんていない方が良かった」などの言葉が隠れているように感じてしまいます。
同じ内容を伝えるなら「あなたが入ってくれたから、私も先輩らしい仕事ができるようになったよ。ありがとう、頑張ろうね。」という言葉であれば、まったく嫌な感じはしない。

本当に仕事効率の悪い新人には、率直に「時間がかかり過ぎているみたいだから、ちょっと丁寧すぎるのかも。この仕事は1時間で終わるものだから、もう少しスピードアップしてみようか」「最初はみんなできないけれど、慣れてきたらできるようになる。だからもうひと頑張り」と言うのはどうでしょう。

近年、ちょっと言葉や表現を間違えただけで、いわゆる炎上状態に陥るケースが少なくない。それによって店や会社が受ける影響は計り知れない。言葉は使う人と使いようによって、相手に希望を与える光にもなれば、相手を打ちのめす狂気にもなる。

自分はこれまで随分と言葉によって励まされてきた。元気になれる言葉をもらって明日を信じて頑張ろうと思えた。そういう言葉には大きくて包み込んでくれる優しさがある。どうせ言葉を使うのなら相手を幸せにする言葉を使いたい。こんな時代だからこそ、強く思う。

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