やる気スイッチをONにする遺伝子

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筑波大学名誉教授、村上和雄

今、世界で最もいいといわれている国はどこかというと、日本はナンバー1かナンバー2なんですよ。それはなぜか。日本は第二次世界大戦という大戦争に敗れて焼け野原になりました。原爆を二度も落とされて、日本はもう立ち上がれないと誰もが思っていたんです。ところが、そこから日本は見事に復興しました。そして、それ以来一度も戦争に関わっていません。科学技術に優れた経済大国になりました。

しかし、それだけではないんです。日本にはお互いが助け合うフォー・アザーズの歴史的な伝統があるんですね。利他的な遺伝子が日本人の遺伝子の中にはある。これが大震災のときに見事に発揮されたと思います。日頃は日本人の悪口ばかり言っている中国や韓国の新聞が、大震災のときの日本人の フォー・アザーズの行動を絶賛しているほどです。私もそのときまで気づかなかったのですが、日本人にはそういう助け合いの精神が確かにある。

それから大自然の働きを素直に認める態度があります。確か震災で被害に遭った高校生の話だったと思いますが、「私たちは天を恨みません」と言っていました。これはまさに日本人が大自然の働き、サムシング・グレートの働きを感じているということです。そういう素晴らしい性分が発揮されたと思います。

科学技術と経済力に加えて、大自然を尊敬し、 フォー・アザーズに生きる日本人に、ダライ・ラマ法王は非常に期待しているんです。おそらく、彼の言うように日本が世界を救うのでしょう。
問題は、私どもがそれを自覚していないということです。日本の高校生は他の国の高校生と比べて自分の評価が非常に低いんですね。自分をどれくらい評価しているか、自己肯定しているかを調査すると、非常に低いという結果が出ています。本来、そんなに低いわけがないんです。私どもがもう少し自分たちに自信を持っていい。日本の国の歴史や伝統に対して、威張る必要はありませんが、もっと素直な評価をすべきだと思います。同時に、自分自身に対しても素直な評価をすべきです。それはあまり他人と比較をしないということでもあります。

そういうことで、21世紀には日本の時代が来るんです。日本の時代とはどういうことかというと、「こういう生き方をすれば幸せですよ」ということを日本が世界に示すことだと思います。幸せな生活をするためには、お金も必要だし、病院も必要です。
しかしもう一つ必要なのは、精神的な豊かさです。大自然に守られ、大自然のお蔭で生きている。自分の力で生きている人なんて誰もいないんです。太陽がなければ、水がなければ、空気がなければ、人間は生きられません。まさに フォー・アザーズの精神で生きているのです。そのことを世界に対して示すことができるのは日本人しかいない、と私は思っています。

■「フォー・アザーズ」キリストの教え「どんなときでも他の人たちのことを心にとめなさい」フェリス女学院の教育理念になっている。

■これは、神道の祝詞の中にもある言葉だ。「世のため人のために尽(つく)さしめ給(たま)へと、恐(かしこ)み恐みも白(もう)す」どうか、世の中のため、人のために、尽くさせてください、とここに、つつしんで申し上げます。

■小林正観
たとえ一銭の得にもならなくても、また誰からも評価されなくても、「人のためになるようなこと」をバカになってやり続ければ、 自己肯定感が高くなり、自分のことが好きになる。たとえば、「社内や近所の掃除を毎日黙々とやる」「会う人会う人に気持ちよい挨拶をする」「愛ある言葉をかける」「どんなことにも感謝する」という人を喜ばせる行為。なぜなら、与えれば与えられるからだ。感謝すれば、感謝される。感謝されれば自分に愛がたまる。自分に愛がたまれば、自己肯定感が高くなる。

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