『性格スキル──人生を決める5つの能力』

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鶴光太郎・慶應義塾大学大学院商学研究科教授

最近の研究では、学力や偏差値のような「頭の良さ」(認知スキル)だけでなく、むしろテストでは測れない「性格スキル」が人生の成功に影響することがわかっている
「性格スキル」には、いわゆる「ビッグ・ファイブ」と呼ばれる5つの要素(「開放性」「真面目さ」「外向性」「協調性」「精神的安定性」)がある

日本の親は、ともすれば認知スキルを上げることばかりに執着しがちですが、実際の成功は、この「性格スキル」が握っています。
アメリカと日本で、「協調性」が成功に与える影響が違う

性格スキルの獲得は8~9歳から10~11歳が最も大きい
性格スキルは認知スキルに比べ後年でも伸びしろがあるので、青年時の矯正は性格スキルに集中すべき
性格スキルと認知スキルの関係については、ヘックマン氏らは、性格スキルが高ければ認知スキルは伸びやすいが、その逆は必ずしも明らかではないことを強調している

恵まれない環境に育ったり、行動に問題のある若者に対しては、学力や知識といった認知スキルを向上させることよりも、前述のようにその根源にある性格スキルを伸ばしてあげること

性格スキルの賃金への影響は認知スキルの賃金への影響のなんと2.5~4倍に及ぶことがわかった
それぞれの因子と仕事の成果との平均的な相関係数をみると、「真面目さ」の0.22に対し、「外向性」は0.13、「精神的安定性」は0.08、「協調性」は0.07、「開放性」は0.04となっており、関連の強さではビッグ・ファイブの中で「真面目さ」が一番高い
明るさ、社交性を示す「外向性」と仕事の成果との相関係数はプロフェッショナル(学者、医師、弁護士等)の場合、マイナスであるが、管理職、営業職では0.18、0.15と業種の中では最も高い

性格スキルの年間所得への影響については、日本の場合、男性では年間所得に対し「協調性」が正の相関関係であるのに対し、アメリカでは男性、女性とも負の相関関係となっている
社交性は飲酒に結びつきやすいが、喫煙とは関係がない

犯罪を起こさないためにも「真面目さ」と「協調性」を高めることが重要
「真面目さ」、「開放性」が高い人ほど学歴も高くなる
「社会的優越」、「真面目さ」、「精神的安定性」、「協調性」は長い人生を通じて伸び続けることがわかる。
一方、「開放性」、「社会的バイタリティ」は10代で伸びるが後の人生ではむしろ低下

重要だったのは、「困難に負けずに立ち向かう」「絶対にあきらめない」という態度

〇労働市場の評価に大きな影響を与える躾(4つの基本的なモラル)
「うそをついてはいけない」
「他人に親切にする」
「ルールを守る」
「勉強をする」

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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