『ティール組織』

Pocket

フレデリック・ラルー

 『ティール組織』は、以下の特徴に基づいています。
1.自主経営(セルフ・マネジメント)
2.全体性(ホールネス)
3.存在目的

大組織にあっても、階層やコンセンサスに頼ることなく、
仲間との関係性のなかで柔軟に行われるマネジメント、
人間の精神的な全体性を受け止める職場
(役割だけ期待されるのではなく)、存在目的が先に立つ組織…。

トップでも底辺でも、組織はエゴを追い求めるという
終わりのない努力をする場になっており、
人々は心の奥底に抱いている情熱を十分に発揮できないのだ

企業のトップだけでなく、社員のだれもが
意味のある判断をできるようになるべきだ

進化型(ティール)では他人から認められること、
成功、富、帰属意識は快楽的な体験であり、
エゴを充足させる甘酸っぱい「わな」ととらえられる。
そのため、それ以前の段階とは対照的に、優先順位が入れ替わる。
良い人生を送るためには他人からの評価や成功、
富、帰属意識を求めず、充実した人生を送るよう努める。
他人から認められることや成功、富、愛は結果にすぎない

進化型組織のリーダーたちは、理想の職場のあり方として、
家族とは別の比喩を使う。
実は彼らの多くが、自分の組織を「生命体」や「生物」ととらえている。
生命は、進化に向けてあらゆる知恵を働かせながら、
底知れぬ美しい生態系を維持している。
生態系は、全体性、複雑性、そして高い意識に向けて常に進化し続けている。
自然は、自己組織化に向かうあらゆる細胞とあらゆる有機体の欲求に
つき動かされて、常にどこかで変化している。
そこには、命令を出したりレバーを引いたりする中央からの指揮も統制もない

〇ビュートゾルフの自主経営チーム
看護師たちは、ケアサービスを提供するだけでなく、
どの患者を何人受け持つかも自分たちで決める。
新しい患者の受け入れ、ケアプランの作成、休暇や休日のスケジューリング、
業務管理も、さらにはどこにオフィスを借りるのか、
そこをどう飾るのかもチームで決める

仕事の満足度を証明する数字がある。
従来の(達成型の)介護組織に比べ、ビュートゾルフでは
病気を理由とする欠勤率が60%低く、離職率は33%低い

FAVIでは、営業部門も解体された

今回の調査対象となった組織の大半は、
何らかの形でAESが「助言プロセス」と呼んでいる方法を実践している。
それは実に簡単な仕組みだ。
原則として、組織内のだれかがどんな決定を下してもかまわない。
ただしその前に、すべての関係者とその問題の専門家に
助言を求めなければならないのだ

進化型組織では、役職と職務内容は社員がそれぞれ担っている
役割の組み合わせを正しく表していない。
固定的な名称では組織内で流動的に変化していく
職務内容を説明しきれないからだ。
社員たちは、仕事の負荷と自分の好みに従って
役割を頻繁に取り換えたり取引したりする

同僚間の話し合いに基づくプロセスと自ら定める給与

CEOが謙虚さや信頼、勇気、思いやり、弱さをさらす、
自分らしさといった美徳の手本を示すと、
社員たちも同じリスクを取りやすくなる

結局、この『ティール組織』も、必要なのは、
進化型(ティール)の世界観を理解し、
受け入れている経営トップと組織のオーナーということで、
実践は簡単ではなさそうですが、
カネや恐怖で人が動かない時代に、
目指すべき組織像を示したという点で意義があります。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

Pocket