『仏様からのアドバイス』

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東大寺別当、筒井寛昭

少し前まで西洋人の抱く日本人のイメージといえば、メガネにカメラが必需品、イラストに描かれたその顔は出っ歯で、いつもニヤニヤ笑っている。西洋人から見た私たち日本人は、何事にも笑い顔で、なぜ笑っているのか理解しがたい存在に映っていた。
東洋人の笑いは、単におかしいから笑うのではなく、その奥にある別の感情を覆うような含みのあるものだったりする。

中国北魏(ほくぎ)時代の仏像や、その影響を受けた明日時代の法隆寺の仏像などには、アルカイック・スマイルと呼ばれるほほえみがある。
感情表現を極力抑えたなかで、口元だけが上がり、ほほえんだように見える表情が特徴だ。

仏様の笑いは、一般の笑いとは違って、難儀のときに出る笑いなだ。人々が困っていればいるほど、苦しんでいればいるほど仏様は笑う。困っている人を助けるために笑っている。慈悲の笑いなのだ。
たしかに、穏やかにほほえまれているその表情に接すると、苦境に立たされているときでも癒され、気持ちが和らぐ。
ほほえみは仏様に限らず、人々を安心させる力を持っている。ためしに、ここ一番という苦しいときにほほえみを浮かべてみてください。苦しみが和らいでいくのを覚え、再び前に向かって歩き始める勇気がみなぎってくるでしょう。

〇「絶望した人間に笑いを蘇らせることは、その人間を生き返らせることに他ならない」ピーター・ドラッカー
「苦境に立たされたとき」、「もうこれまでと悲嘆にくれたとき」、そこにユーモアや笑いがあると、「もう一度やってみよう」というひそかな勇気が湧いてくる。笑いは希望を引き寄せるからだ。
だから、悲しいときほど、苦しいときほど、ほほえみが必要だ。引き寄せの法則にあるように、ほほえみは、ほほえみを引き寄せるからだ。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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