『自分を変える』

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スティーヴ・チャンドラー

安定した大企業で定年まで働き、リタイアしてからは、
それまで養ってきた家族や子ども、
そして年金と貯金に頼って生きていく…。

こうした人生設計は、産業革命以降の時代に確立された。
こうした工業化社会のライフスタイルで、
人はどんどん保守的になった。
そして冒険心を忘れてしまった。

工業化社会以前の開拓時代は、冒険とロマン、
フロンティアスピリットが満ちあふれていた。
それはおそらく、あの時代、個人が自分の能力を生かしきって
生きていたからだと思う。

開拓者たちは、自分で畑を耕し、料理をし、狩りをした。
そして65歳でリタイアしようなどとは夢にも思わなかった。

情報化社会は、フロンティア時代の復活だ。
年齢や社会的地位よりも、個人の能力が高く評価される時代が
再びやってきたのだ。

たとえば、私の会社が中国に進出し、
ソフトウェアを販売する計画を立てたとする。

そのとき中国語を流暢に話し、ソフトウェアにも詳しく、
前向きなエネルギーのある人物を見つけたとする。

その相手が70歳だからといって、
私は採用をあきらめるつもりはない。

マイクロソフトのビル・ゲイツは言った。
『マイクロソフトの資産はたった1つ。それは人の想像力だ』

マイクロソフトのすべての自社ビル、
不動産、オフィスの備品といった物理的な資産、
手で触れることのできる資産が、すべてなくなったとしよう。

マイクロソフトはいったいどうなるだろうか。
ゲイツの答えは「何も変わらない」だ。
なぜなら今日の世界では、会社の価値は、
社員の思考力で決まるからだ。

個人の能力が重視される時代では、
学校を卒業しても、勉強を続け、スキルを磨き、
つねに新しい知識を身につける必要がある。

そうすることで初めて、あなたは新時代で求められる
「有能な人」になることができる。

偉大なバスケットボール・コーチのジョン・ウッデンは、
次のような生き方を勧めた。
『人生が永遠に続くつもりで学び、明日死ぬつもりで生きる』

職歴、学歴、人脈、コネ、勤続年数を頼りに、
仕事を確保できる時代はもう終わった。
今の時代、重視されるものはたった1つしかない。
それは、現在持っているスキルだ。
そして、自分のスキルは、
自分自身でコントロールすることができる。

これは新しいフロンティアだ。
かつては仕事を引退する年齢になると、
今度は老後の生活の心配をしていた。

しかし今の時代、生涯にわたって勉強と成長を続ければ、
いくつになっても社会にとって役に立つ存在でいられる。

未来について学ぶほど、
その未来で価値のある存在になろうという
やる気も高めることができる。

サミュエル・ウルマンの詩がある。
「年を重ねただけで人は老いない。
理想を失うときに初めて老いが来る。
歳月は皮膚のしわを増すが、情熱を失うときに精神はしぼむ」

理想や情熱を失ったときは、好奇心も、挑戦する意欲も失い、
そして、老いる。

情報化時代は、まさに混沌とした予測不能の時代。
一寸先が見えない混沌の時代は、勇気をふりしぼって、
一歩前に歩みだすしかない。

情報化時代は、いくつになっても好奇心を持ち、
学びと、挑戦をやめない。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より

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