「企業を蝕む熱意なき職場」

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西條都夫

米国企業は、一般に社員の意識調査に熱心だ。社員の不満が高まれば、優秀な人から順に会社を辞めて、大きな損失に繋がるからだ。
一方、日本は労働市場の流動性が低く、社員の離職率は高くない。だから経営者は働き手の心のありように鈍感だ。

社員が会社を辞めないことと、彼らが生き生きと仕事をしているかは、また別の話だ。
日本人は、受動的な真面目さはあっても、自ら積極的に仕事に向き合う姿勢に欠け、それが労働生産性の低さやイノベーション不足に帰結している。

処方箋はある。社員の意欲を最も左右するのは、直属の上司との関係だ。部下とよく話し、彼らの弱みではなく、彼らの強みに着目する上司がいれば、職場の意欲は目に見えて上がる。
マネージャーに適切な人を選び、部下の技量を高める工夫が企業には欠かせない。

こうした取り組みは、すぐに効果が上がるというものではない。だが、さぼれば、または経営者が無関心のままでは確実に組織の活力は減退し、業績に悪影響が出るだろう。
不摂生や運動不足を続ければ、いつかは重篤な生活習慣病に蝕まれる。それに似ている。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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