自らの型をアップデートする

Pocket

島田久仁彦、国際交渉人

自分のこれまで、現在、これからのことを整理してみた。その過程で「守・破・離」というコンセプトに出会えた。
「守」とは、良い手本を真似る事で、型を学び、伝統を身に着ける事を指します。
その型がしっかりと身に着いた段階で、それを「破」っていく。
そして、最終的には自分のオリジナリティーを作って「離」れて行く。
この手順を踏んで、初めて創造的と言える。

こういう深い洞察と伝統への敬意があるからこそ、日本人は何百年も愛され、影響力のある武道・芸道や文化を創造する事が出来た。これを自分自身に当てはめた場合、過去の成功に囚われてしまい、その成功と現状を比較し、行く末までも無駄に嘆いている自分を見つけた。これまで積み上げてきた事は、間違いなく自らの糧となり、財産となっている。なのに、そこに囚われていては成長しないし、新しい状況に対応する事も難しくなる。

積み上げてきた揺るぎないものに立脚しつつ、刻一刻と変わる現状に対応し、自分なりの型を作ることが必要だと気が付いた。世間では、「型破り」な人は、尊敬されるが「型無し」は良しとされない。
なぜなら、「形無し」は、最初は目新しく斬新に見えるが、たいていは長続きせず、単なる一発屋で終わる可能性が高いからだ。交渉の世界でも、同じことが言える。

過去に上手く行った方法に拘り、「こうして行けば大丈夫」と高をくくる交渉官が複雑さを増す事態を収拾できた例を、見たことが無い。
常に自らを省みて、時分に合った核になるテクニックは大事にしつつも、新しく良いモノは進んで取り入れ、自らの型をアップデートしていけるのがプロである。これは、また現在を生きること、そのものなのだ。

明日の事を憂えても、心が暗くなるだけで、時間とエネルギーの無駄です。
過去から学び、戒めとする事は大事ですが、いつまでも過去にしがみついていては何も変わらない。
同様に、まだ起きていない明日の事ばかりを憂えても何も変わらない。

いざという時に対応するための準備を怠らないことは大事だが、心配ごとに心を囚われて身動きできなくなるのではなく、あくまでも、自分が変えることのできる現在に集中して生きる事が大事である。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

Pocket