「危ないポリファーマシー」

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大西睦子、米国在住、内科医

ポリファーマシーとは、沢山の薬。
つまり、医学的に必要以上の薬の服用を意味する。

2016年、ドイツのヴイッテン・ヘァデッケ大学
慢性疾患の治療は、ガイドラインに従って
治療する事が推奨されている。
ところが、複数の疾患を持つ高齢者に対して、
ガイドラインの変更や議論は無い。
それぞれの疾患に対して、すべてのガイドラインに沿って
治療をすれば、必然的にポリファーマシーになる。

多くの薬は、複数の疾患を持つ高齢の患者が利用している。
にもかかわらず、臨床試験による有効性の根拠は
若年者を対象にしている。
若年者に比べて、高齢者は腎臓や肝臓の機能が低下している。
そのため、薬の解毒や排泄がしにくく、
副作用が起こり易い。

米国では、10年ほど前から考え方が変わってきた。
1.不必要な薬の処方を減らす
2.高齢者の積極的な治療は控えめにする

2008年ウェイクフォレスト大学医学部
心臓病で糖尿病患者の血糖値を下げる為の
強化治療と標準的な治療を3.5年間追跡調査をした。

強化治療は、死亡率を高め、治療は中止となった。
また強化治療で低血糖や10キロ以上の体重増も生じた。
つまり、心臓の弱い高齢者を、
厳しい治療で徹底的にコントロールしても、
かえって合併症や死を招くことになった。

健康のためには、薬は最低限にしておくべきなのだ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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