『町工場の全社員が年収600万円以上もらえる理由』

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吉原博

当時のニューコアには、いくつかの神話がありました。

・ニューコアの社員7000人は、鉄鋼業界でいちばんの高給取り。
 にもかかわらず、生産された鋼材1トン当たりの人件費は最低
・本社勤務の社員はたった22人
・レイオフなし、工場閉鎖なし。30年以上、
 すべての営業四半期において黒字決算
・業界最高水準の給与を支払っており、
 人材に不足したことがない

会社というのは、社員のことを考え、合理性を突き詰めると、
極限まで筋肉質になるものです。

私は社員を2つのグループに分け、
それぞれのグループについて、
週に2日ずつ「22時まで残業」「19時まで残業」
「定時で退勤」の日を決めることにしました。
当時はどの会社も月曜日から土曜日まで
週6日勤務でしたから、
たとえば「グループAに所属する社員は
月曜日と水曜日が22時まで、火曜日と金曜日が19時まで、
木曜日と土曜日が定時まで」というように決めました。
グループAとグループBが残業する曜日をずらすことで、
週4日、工場は22時まで稼働させることができます。
一方で、社員は定時で退勤できる日が事前にわかるので、
プライベートの予定を立てやすくなる

「社員の働きやすさを変えずに、
何とか工場の稼働時間を増やして、
受けられる仕事を増やせないか」
そう考えた私が次に導入したのは、「夜間専門社員」です。
つまりグループA、グループBのほかに
夜間専門のグループCを作って3グループ制とし、
グループCの社員が22時から朝まで
機械を稼働させられるようにしたわけです。
こうして、工場の機械はほぼ24時間フル稼働できるように
なりました

週休2日制の中身を見直し、「土・日」または
「日・月」に社員が休めるようにしました

吉原精工ではプライベートには一切タッチせず、
社員同士の親睦を図るイベントなどはありません。
「楽しいことは会社の外で自由にやってほしい」という方針です

大事なのは、「残業代込み」の給料にすること

「利益が上がればボーナスが出る」という
仕組みを導入した結果、
面白い効果も生まれました。
会社の利益を社員が優先して考えるようになり、
ベテラン社員が若手社員の能力を引き上げようと
サポートする姿勢が見られるようになった

壁に張り出す紙には、今の借金の額も載せています

もし残業のある会社で社員に業績の推移を開示する場合は、
残業代も公開すべきだ

吉原精工では、入社1年目から年間20日の有給休暇を
設けています。
20日間の有給休暇のうち、14日間は私が割り振ります。
社員は、残り6日間は自由にとることができる仕組みです
有給休暇のうち14日間を私が割り振るのは、
ゴールデンウィーク、お盆、年末年始に
それぞれ10連休をつくるためです

社員全員に「部長」という肩書のついた名刺を
持たせています。
ただし、「部長」の名前はプライベート用です

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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