三国清三
「世界の子供にワクチンを日本委員会」の活動に参加して料理観が変わった。
それまで、料理は私にとって武器だった。どうだ、これがオレの料理だ、すごいだろう。そんな尖った思いを胸に、いつも厨房に立っていた。
それが、人に喜んでもらったり、幸せになってもらう為に、作るようになっていた。「角が取れ、料理がつまらなくなった」と言う人もいた。
しかし、人を愛おしく思い、料理でそれを表現するようになって、客層は広がった。
慈善事業に取り組むことなく、仕事一途で生意気な料理を作り続けていたら・・そんな自分を想像すると恐ろしい。
まさに、「情けは人の為ならず」である。