『悩まない人の習慣』

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中谷彰宏 

《全員に嫌われない人は、熱烈に愛してもらえない。》

悩む人は、全員に嫌われたくないという恐怖感が強い。
特に、ネット社会においては炎上することがあります。

ただ、全員に嫌われないことが実現するならば、
熱烈に愛してくれる人もいなくなります。
いわゆる可もなく不可もなくという状態です。

ベストセラーは、賛否両論です。
「これは誰もけなす人はいないよね」という企画は
ヒットしません。
賛否両論は、読まない人は読まない、
読んだ人は「これは面白い」と、くっきり分かれます。

世界中の人全員を相手にしなくていいのです。
世界中で「よい」と言ってくれる一部の人を大切にする。
その人がもっと満足するように努力するのです。

悩まない人は、アンケートに振りまわされません。
アンケートは平均値でしかないからです。

「あのミュージシャンてどうなの?」と言う人は、
ライブに行ったことがない人です。
そういう人の意見をアンケートに加える必要はありません。

T.M.Revolutionの西川貴教さんは、
体を鍛えて体脂肪率1ケタを維持しています。

ダウンタウンの松本人志さんも体を鍛えているので、
西川さんの体を見ると、どういう鍛え方で、
どれだけトレーニングしているかよく分かります。

ネットで、一部の人が西川さんについて
「あれってどうなの?」と書いたそうです。
それに対して、西川さんは「『あれってどうなの?』って
言う人いるんですけど、やってから言ってくださいね」と
余裕で笑っていました。

私は、西川さんの対応の男らしさに拍手しました。

「あれってどうなの?」と言うのは、
そのことを体験していない人です。
体験して分かっている人は、「すごいなあ」と賞賛します。
体験していない人のコメントは、気にする必要はないのです。
炎上は、すべて体験していない人の意見です。

読んでいない人、ライブに来たことがない人が
言っているので、なんら影響はありません。

「ベストセラーの〇〇という本はどうなの?
買ったけどさ」と言う人は、パラパラと読んだだけです。
体験した人は、「あれってどうなの?」とは言わないのです。

人に嫌われないために、一歩を踏み出せない人は多い。
叩かれたり、悪口を言われたり、
批判されたりするのが嫌だからだ。

人の悪口を言ったり、批判したりする人は、
たいていパワーがある。
悪のパワーだ。

善人は、悪のパワーに負けやすい。
子供のころから、「人には嫌われないように」とか
「悪い評判が出ないように」という、
「いい人でいなさい」というメッセージを
ずっと受け取ってきたからだ。

だから、ちょっとしたことで批判されたり
悪口を言われたりすると、
すぐ立ち上がれなくなってしまう。

その点、悪人はしたたかだ。
悪の中でもまれ、失敗してもめげないとか、
傷つかないという経験を多くしているから。

だが本当は、「いい人」ほどタフでしたたかである必要がある。
なぜなら、そうでなければ、悪のパワーに負けてしまうからだ。

そのために必要なことが、「全員に好かれようとしないこと」。
現代社会においては、全員がいいと言ってくれることなど、
まずありえない。
批判や悪口は出て当然。

善人でありながら、タフでしたたでないといけない。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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