「アンガーマネジメント」

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正木忠

元々、アメリカで罪を犯した人などを対象に
「怒りを上手に扱う」為に開発された技術だった。
当初は、怒りを抑え込む側面が強く、
これを目標に学び始める人が多かった。

しかし、アメリカでは自身が言いたいことを表現するための
教育が盛んに行われている。
一方、日本では感情を抑え込むことが美徳とされている。
そこで我々は、怒りを上手に表現するという側面を強調して
伝えている。

単に感情を抑え込むだけに留まらない。
怒りを感じた背景にまで目を向け、
自分の素直な思いを発見する。
それを共有する事で、より充実した人間関係が
築けるようになる。

怒りの元になるのは「こうあるべき」という、
何でも自分の枠の中に入れようとする心の在り方だ。
これが思い通りにならない時、怒りの感情が湧いてくる。

例えば、目玉焼きに、どの調味料をかけるか。
これは、白黒をはっきりつけなくてもいい問題だ。

他人とのちょっとした好みの違いを
「そういう人もいるよね」と思えるグレーの感覚を身に着ける。
それが、根本的な怒りの解消になる。

これは、強固な価値観を持っている人ほど、
気を付けなくてはいけない。

アンガーマネジメントでは、怒りを2次感情と捉える。
そして、その原因である1次感情に着目する。

例えば、連絡も入れずに深夜に帰宅した娘に対して
「こんなに遅くまで、何処に行ってたんだ!」と
怒る背景には、「心配だ」という1次感情がある。

これに気付く事ができたなら、
その1次感情を真っ直ぐ相手に伝えればよい。
その際、声を荒げる必要は無い。
いつも通りの穏やかな口調で言えば、
言いたい事の中身は伝わる。

これは、クレーム対応にも応用できる。
「責任者を出せ!」と怒ってくるような人は
「自分は大切にされていない」という1次感情を持っている。
こうした1次感情に着目できれば、
クレームにも上手に対応できるようになる。

1次感情を素直に伝えることで、
それぞれの価値観が明確になり、
自分の感情を客観視できるようになってくる。

自分の素直な思いに気付く事ができたなら、
怒ってしまった後でもフォローすることができる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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