『縮小ニッポンの衝撃』

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NHKスペシャル取材班

ベストセラー『未来の年表』と同様、
日本の不都合な真実をまとめた、未来予想図。

データが示す日本の未来は、
これからの政策や人々の行動によって
変わる部分はあるが、
本書が扱っているのは「今」である。

現在でもこれだけ苦しい自治体があるのに、
今後本格的に人口減少が起こり始めたらどうなってしまうのか…。

2016年に発表された国勢調査(2015年)によると、
我が国の総人口は1億2709万人。5年前の調査と比べて、
96万2667人の減少である。
「人口減少」と言われて久しいが、
実は、1920年(大正9年)の開始以来
100年近い国勢調査の歴史上初めて
日本の総人口が減少に転じた、ひとつの大きな節目であった

夕張では、破綻後、若年層の流出が加速し、
過去10年間で人口の実に3割が減少した。
その結果、住民の高齢化率は5割を超えた

2014年5月に発表された「消滅可能性都市」とは、
少子化と人口減少が止まらず、
将来存続が危ぶまれる自治体を指す。
全国の49.8%にあたる896の市区町村が
「消滅可能性都市」に挙げられた。
選定の基準は、2010年から2040年までの30年間で、
子どもを産み育てる中心的な世代である
20~39歳の女性が5割以上減少することだ。
5割以上減少すると、出生率がいくら上昇しても
人口の維持が困難になるとされている

2016年2月に発表された国勢調査(2015年)では、
全国の8割以上の自治体が人口減少に陥っている。
それとは裏腹に、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県を
合わせた人口は、過去最高の3613万人を記録し、
世界最大の都市圏となっている

近年、豊島区に転入してくる若い世代は
年収が240万円ほどしかないため、税負担の能力は低い。
もし、非正規雇用に従事する人が多いとすれば、
将来的にも、給与水準が上がらない可能性がある。
もし、彼らが結婚し子どもをもうけることができなければ、
税金の担い手となる次の世代につなぐこともできない

「かつては、働けなくなった警備員は、
自分のタイミングで地元に帰るなどして
仕事をやめていっていました。
それがいまは、家族を持たない人が会社の寮に住み続け、
文字通り、体が限界を迎えるまで働き続けているのです」

「行政は『コンパクトシティ構想』って言ってるけど、
聞こえは良いけどもさ、
要は“厄介払いをする”っていうことでしょ。
コンパクトにして、
金のかかることは一切やらないようにして、
そして、地域を整理しますっていう計画でしょ」

東京をはじめとした大都市圏では医療や介護を必要とする
高齢者の急増は避けられず、
介護施設や医療機関で最期を迎えるのは
これまで以上に難しくなる

消滅をタブー視していては、何も進まない。
何を守り、何を諦めるのか

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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