『バカ論』

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ビートたけし

歳を重ねるごとに、後世に遺せる仕事がしたい、と
思うようになってきましたが、
「遺す」ためには合理性を捨てなければならない、
ということが分かってきました。

要するに「バカ」にならなければならないということです。

吉田松陰的に言うと、「君たち狂いたまえ」という
言葉になるでしょうか。

「やりたい仕事が見つからない」
「老後をどう過ごせばいいか」

などというありがちな悩みに対しても、
毒舌でバッサリ斬っており、
その視点の斬新さが刺激的です。

バカを見つけるには、ひとつコツがある。
そいつに質問させればいい。
そうすればすぐに馬脚を現す

当事者同士の問題のはずなのに、
マスコミというのは集団ヒステリーを起こしたように
「責任をどう考えるのか?」
「社会に与えた影響は?」なんて、バカなことを
いちいち聞いてくる

一方で、誰かが賞を受賞したり表彰された時の会見は、
驚くほど時間も短い

離婚に限らず、最近はどんなことでも
「世間の皆様にご迷惑をお掛けしたことを
お詫び申し上げます」なんて言って謝るけど、
世間の皆様に謝る必要があるとは思えないことばかり

バラエティ番組でも、いつからか
「ケーキは番組終了後にスタッフで美味しくいただきました」
というテロップが出てくるようになったけど、
嘘つけ。床にぶちまけられたケーキを美味しく食べる奴が
どこにいるんだ。要するに全部クレーム対策

多数決で決まることをあまり信用しなくてもいい。
むしろ「お前はバカだ」と言われても、
九十九人の方ではなく、残りの一人になる勇気が必要

プロ野球で言えば、今の野球選手と、
長嶋さんや王さんを比べちゃいけないってこと。
技術だけで言えば、今の選手や芸人の方が
優れているかもしれない。
だけど、その人が活躍した時代状況が何よりも重要で、
その時にいかに周りより飛び抜けていたかが大事

何を盗むか、というのは、芸人として問われるべき
大事なセンス
そのセンスがない奴は、変な顔をするだけとか、
脱いだり奇抜な格好したりだとか、
ただの見世物、フリークみたいなお笑いしかできない。
結局それは、「笑わせている」んじゃなくて、
「笑われている」だけ

「かくし芸」を「売り芸」にしちゃダメなんだ。
「裏芸」はあくまで「裏芸」の良さであって、
それを「表芸」にしてしまったら、
芸人としての寿命が縮むだけ

──「やりたい仕事が見つかりません」
いきなり参っちゃうね。まあ若い奴なだんだろうけど、
はっきり言うと、
「やりたい仕事が見つからない」ではなくて、
やりたくてもそれに見合った実力がないだけ

大体、孤独じゃない死なんてあるのか。
そもそも人間なんてのは、
ひとりで生まれて、ひとりで死ぬものだろう

現在の日本人は、空気を読みすぎて
がんじがらめになっていますが、
『嫌われる勇気』なんて深刻な話ではなく、
批判されても「それがどうした」と開き直れること、うけあい。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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