転勤は時代に合わない

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大久保幸夫

転勤は、日本独特のの慣行。
終身雇用を背景に、転勤命令権として広く認められている。

転勤を行う理由は3つ。全国に展開する拠点の人員の需給調整のため、人材育成のため、マンネリ防止のため。
この仕組みは、既に制度疲労を起こしている。

人材は、それぞれの地域で採用することを基本にすべきだ。余人をもって代えがたい人材だけを送りこめばよい。
人材育成なら、担当職務の変更やプロジェクト任用などで十分だ。

採用難の現状では、転勤が無いことを売りにした方が、人材は集まり易い。
高速交通やモバイルツールの普及も転勤しなくていい環境を作っている。

マンネリ防止には、単身赴任で羽を伸ばすという古い価値観も含まれている。
長い間勤務すると取引先との癒着・不正が生じるというならば、不正が見つかるように長期休暇を取らせれば済む。

共働き世帯は、全世帯の6割を越え、働く夫と専業主婦の妻という高度成長期の家庭像は崩れてきている。夫の転勤に付いて行けば、妻のキャリアが阻害される。単身赴任すれば、ワークライフバランスが崩れる。どちらも働く個人にとっては、マイナスが大きい。

転勤する人には、手当や転居費用の補助などで年間100~150万円の経費が掛かる。わざわざ、そのような出費をするほどの必要性は見当たらない。

本来、雇用とはローカルなものである。地域限定社員を作るのではなく、地域限定社員を普通の正社員にする。それが、働き方改革の先進企業だ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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