守らない勇気

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山口幹生

多くの不祥事に共通するキーワードは、偽るという行為だ。真実と異なる情報や状況を作りだす。
不祥事は、どんな組織にも起こり得る。発生後の対応は重要だ。対応を誤り、傷口を広げてしまうとダメージは、元の不祥事をはるかに上回る。逆に事後対応が適切なら、ダメージは軽く抑えられ、社会的評価を、かえって上げることもある。

適切な事後対応とは、不正によって偽っていた状態を元に戻す事。事実関係を隠すことなく、オープンにすること。ここで、隠蔽すると2次不祥事となる。
小さな不祥事を隠し通してこれた組織が、大きな不祥事にも同じ対応をして致命的ダメージを受ける例も少なくない。

昨今、情報は極めて短時間で世に拡散される。特にマイナス情報の足の速さは尋常ではない。「臭いものに蓋をする」では乗り切れない。
類似事案の有無なども含めて徹底して調査する必要がある。

従来の立場や原状を守るという発想は捨てる。徹底的に膿を出す攻めの心構えが結果的には、組織の使用来を守ることになる。
情報の開示は大切である。遅れれば遅れるほど隠蔽の疑いをかけられる。

調査不十分の段階で中途半端な開示をすれば、歪曲・矮小化していると非難を受ける。当事者意識を欠く、責任回避的な言い方は、社会を敵に回す。
ここでも、敢えて守らないという勇気を持ちたい。腹をくくって、1から出直すトップの覚悟が問われる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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