『コレクションと資本主義』

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水野和夫、山本豊津

有用性が低いもの、「使用価値」が低いものほど価値は転換し飛躍する。その飛躍によって「交換価値」がどんどん上がっていく「歴史の危機」において最もしてはいけないことは「専門化」(水野)

有用性の低さにもかかわらず、他のどのような商品よりも、ある条件では価値が膨れ上がっていく。その部分にこそ、私は資本主義の本質がある(山本)

価値というのは、何かを集めることによって生まれます(水野)

空間の広がりによって知識と情報が広がり、それが出版資本主義によって人々のあいだで共有される。情報が共有されることで人々はあるコンテクストを見出し、そこに価値を認める(山本)

スピードというのは、動力革命によってもたらされた価値観(水野)

なぜ二つの大戦が避けられなかったか? 互いの国家の「蒐集」のシステムがぶつかり合い、衝突したという見方ができるでしょう。世界が飽和状態になったとき、新たに進出する新世界がなくなる。結局、お互いを侵食し合わなければ「蒐集」ができなくなるわけです(水野)

新興ブルジョアジーと絵画が結びつき、印象派とその後の絵画のマーケットができあがっていった。それはつまり、パトロンというものがかつての王侯貴族や聖職者から、一般の市民階級になった時代、と表現できますね(水野)

これから百年の年月をかけて、世界には「閉じた帝国」が複数並び立つだろう(水野)

資本主義が終焉を迎えるとはいえ、いきなりすべての活動が終わるわけではなく、グローバリゼーションやバーチャル経済にフロンティアを求めるなど、さまざまな動きが出てくる。同じようにアートの世界も二次元としての絵画の時代は終わっても、「表現」すること自体はその後も続いたのです(山本)

芸術は必ず、反芸術によって延命してきた(山本)

反芸術も含めて時代が「イスム」を失ってしまったとき、簡単にいうなら「やるべきこと」を失ってしまったときに出てくるのが、マニエリスムといえるでしょう日本では村上隆や奈良美智がその代表です。作品のメッセージ性というよりも、技術のための技術、表現のための表現という側面が強い(山本)

芸術こそが希少性と無限性を併せ持つ特殊な代物であることが分かるはずです。それは芸術が自然物ではなく、人間がつくるフェイク=虚構だからとも言える(山本)

エンジオイル、OEM仲間の経営塾より

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