『「ゆっくり力」でいい人生をおくる』

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精神科医・医学博士、斎藤茂太

若いころはせっかちだった人も、年をとるにつれて、自然にゆっくり力が身について、ゆうゆうと生きてゆけるようになる、と単純に考えるかもしれないが、それは大きな間違いだ。ほうっておけば、せっかちな人は年をとるにつれて拍車がかかり、ますますせっかちになっていく。頑固な人には、同じことが起こる。年をとるにつれて、頑固に拍車がかかっていき、「あんな、頑固なじいさんはいない」と言われるようになる。いじわるな人も度をこして、「あんな、いじわるばあさんは見たことない」となってくる。

人の性格は、年をとるにつれて、もともとの性格が強く出てきて、極端になっていく。加齢により血管が硬くなるように、アタマも硬直化して、思考に柔軟性がなくなるからだ。

「一怒一老」というが、「怒り」は老化を加速させる。ひとつ怒れば、それだけ、せっかち老人、がんこじいさん、いじわるばあさんにいたる道も早くきてしまうから気をつけたい。

そこでアタマの硬直化を予防する柔軟体操のひとつは、「楽しいこと」への好奇心を旺盛にしておくことだ。子供のころの明日は遠足だという前の日の「わくわくする気持ち」を、今でも覚えているだろうか。その気持ちを、年をとっても失わないことが大切だ。
わくわくが心を揉みほぐす。心のいい運動となって、脳の硬直化を防ぐ。楽しそうなことは、なんでもやってやろう、見てやろう、の心意気だ。

もっと「もの好き」になりなさい。私の、わくわくするような楽しみは、旅をする楽しみ、飛行機、列車、船に乗る楽しみ、お酒をたしなむ楽しみ、昔からの友人とほろ酔い気分で冗談をいい合って、大いに笑い合う楽しみなど、いくつもある。楽しみをたくさんもっていたことが、心に余裕をつくりだしてくれたと思う。「一怒一老」よさようなら、「一笑一若」こんにちは、だ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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