商店街の活性化 

Pocket

萩本欽一

日本人って、どういう訳か、みんな「ごく普通」というのが好きだよね。でも、普通のことをやっていても、大成功なんてありえない。もっと新しいことを考えて、どんどん変えていかないと。

僕の知りあいに、映画監督を目指してカメラをまわしてた奴がいるの。そいつが故郷に帰って、地方の商店街で親父さんがやってた店を継いだのね。その商店街というのは、このところ、どんどんさびれていく一方だった。
そいつはモノをつくってたから、ものづくりの感覚で「こういう事をやったらどうだろう?」って考えて、自分たちで広場に小さな市場をつくった。
そこに商店街のみんなで出店したんですよ。そしたら大成功して、今度は鉄筋6階建ての大市場にするんだって、みんなで寄り集まってやったら、品物が変わった訳じゃないのに大繁盛しちゃった。

そいつは商売なんて一度もしたことないんですよ。何もわかんない奴が、「とりあえずやってみましょうよ」って、掘っ建て小屋みたいな市場をこしらえた。たいして計画もしないで、あまりお金もかけないで。
たぶん、それが良かったんだと思うよ。その雰囲気が本当に市場っていう言葉にあってたんだろうね。
で、市場という名前を聞いただけで、「安そうだし、なんだか面白そうだぞ」って、みんなが集まってきたんだろうね。しかし、商売を知らない奴がそんな計画して、商店街がよくまとまったよね。
おそらく、みんなお客さんが減って困ってたから、「まあ、やらないよりやった方がいいじゃないの」って、いいも悪いもないしと、やったんだと思うな。

だから、改革というのは、何も知らない新しい奴がするんですよ。ベテランの長老たちが難しい顔してあれこれ議論しても、たぶん何も変わらないよ。そいつは何も知らないから、思い切ったことができた。
みんなと同じことをやってたら、お客さんは来ません。もっと、他の人がやっていないことを考えないと。
だから、一番大事なのは逆転の発想。ダメを気持ちいいほうに転換するところからはじめないと。一般論とか一般的っていうことを、みんな大事にしすぎてる。そんなものは、サッサと捨てた方がいいよ。

〇町おこし、村おこしが成功した例の共通点
1. その町や村で育った人が一度都会に出て生活し、戻ってきて何かを始めた。
2. 都会に住んでいた人が仕事を辞め、その町や村に移り住んで何かを始めた。
3. その町や村の外に多くの友人・知人を持っている人が何かを始めた。
この3つのうちのどれか。外の世界と交流を持ち、外の世界を知っている人が、新しい楽しいアイデアを持ち込み、活性化のきっかけをつくっている。
ずっとその町や村から出たことがない人は、その地域の良さを認識できないので、その良さをアピールすることができない

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

Pocket