『やる羽目になったことは嫌がらずにやる。』

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小林正観

もう40年も前の話、私が20歳のころに、旅先でよくこんな質問を受けました。旅をしている20代のOLが多かったのですが、そのOLたちがこんな質問をするのです。
「コピー取りとお茶くみしか私には仕事がありません。4年制の大学を出たにもかかわらず、コピー取りとお茶くみしかやることがありません。そのために大学を出たわけではないので、毎日が空しくて嫌々仕事をしています。本当の私、本当の私の仕事に出会うためには、どのようにしたらいいでしょう。取りあえずは今の会社は辞めたいのですが」
私の答えはいつも一緒です。「私がもしあなたの上司であるならば、コピー取りとお茶くみを嫌々やっている人に、それ以上の難しい仕事を頼むことはない。コピー取りとお茶くみさえもちゃんとできないのであれば、それ以上に何かの企画を頼んだり、何かの商談をまとめてくれと責任を持って委ねたりということには、ならない。」

やる羽目になったことは嫌がらずにやる。これが宇宙の法則です。
この宇宙の法則を味方につけないかぎり、たぶん楽しい人生が回ってくることはない。
ただ、この話は、「努力しなさい」「頑張りなさい」と言う話とは違います。努力の「努」には、嫌々、無理やりやらせる、嫌々なのだけど、無理やりやらされるという意味が含まれています。嫌々やらされている奴隷の「奴」の人の「心」。つまり、奴という文字の下に心を書いて奴隷の心。これは「怒」という文字になります。なぜ怒りなのか。無理やり嫌がるものをやらされるからです。イヤなことを無理やりやらされることが努力。そして、その努力に無理やり追い込まれ人間の心が、怒りという文字になりました。

では、たとえば、家の中の家事が楽しくない。子守・子育てだけが仕事なので、自分の人生は空しいと思っている主婦がいるとします。その場合に、その空しさを解決する方法が2つあります。
1つは、その子守・子育てを投げ出してしまうこと。やめてしまうこと。ですから、離婚をするなり家を捨てるなり、という選択がある。
もう1つの選択方法があります。それをイヤなものだと思わずに、楽しいものと思ってやり始めるという方法です。この方法は誰にも迷惑をかけません。しかも、自分自身が楽しくなるような選択ですから、それからの時期が楽しくなる。

考え方やとらえ方を変えることによって、物事の価値が、内容が、だいぶ変わってきます。根元的な話ですが、自分のまわりの気に入らないことを、「気に入らない、気に入らない」と言っている間は、たぶん何も解決しない。
自分のとらえ方や考え方を変えることで、ものが全然違うものに見えてくる。この方法が自分にとっては一番ラクだし、一番速い方法です。そして、究極の方法でもあります。
自分の思うように環境や状況を変えるのではなくて、自分の考え方やとらえ方を変える。これが一番ラクで簡単な方法なのです。
すべてのことにこれは使えるので、この方法を身につけたら、人生生きるのがとてもラクになります。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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