『巨大化する現代アートビジネス』

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ダニエル・グラネ、カトリーヌ・ラムール

今、もっとも有望な投資先は何か?世界中で富裕層が増えていて、お金が余っている。おまけに資産防衛に関する先行き不透明感も半端ない…。需要がたっぷりあるのに、供給は限られていて、値段は上がる一方。車だって、富裕層のコレクション対象となるものは、リーマンショック以降、ものすごい値がついています。このアート投資の将来性と、その最有望株である「現代アート」ビジネスを見る。

アート市場はグローバル化によって発展をつづけ、アートは「世界的にお得な取引」となったのだ。アート界の大物たちは、ふたたび黄金郷を探している。アジアが新たな約束の地となり、コレクターの顔ぶれはロシアの新興財閥からラテンアメリカ系に変わりはじめ、夢のようなボーナスの額は上昇しつづけている
将来性のあるアーティストを発掘し、貴重な作品を見出すにも、アーティストを売りだすにも、ネットワークにすべてがかかっている

上海の北東に位置するギャラリー地区、かつての紡績工場跡地は「莫干山路(モーガンシャンル─)50号(M50)」と呼ばれ、その面積は日に日に広がっている「重要なのは、アートから生じる議論で、それは限りなく広がる可能性がある。現代アートでは視覚と同じくらいに、いかに精神に訴えられるかが問われる」(『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン』紙記者ソーレン・メリキアン)

アートは経済成長期には投機的な価値があり、不況時には金や宝石のようなインフレヘッジになる「東京が近代化するのに100年かかったところを、上海は10年とかからなかった。アートでも同じことが起こっています。数年前までならアジアのアーティストが有名になるには欧米へ渡らなければならなかった。ところがいま、アートはいたるところに開かれている。さらに、新興国のアーティストを同国人がコレクションしはじめています」(ロレンツォ・ルドルフ)

2009年のコレクター部門でのトップはフランス人実業家のフランソワ・ピノー
最初の発見者はどちらかというと中小のギャラリストであることが多い。すでに名のあるアーティストを抱えたくとも資金的に余裕がないところだ。彼らの運命は直感と、そのアーティストがどう成長していくかを判断する能力にかかっている
売上は折半するのが普通で、特別な注文で制作費が必要になる場合、依頼者がそれを負担するが、ギャラリストはそこから25%ほどをとるので、そのぶんアーティストの取り分は少なくなる
アート市場のグローバル化に巻きこまれた中国の現代アートは、2004年ごろから急激に発展し、08年には世界的な競売会社の総売上の3分の1を占めるにいたっている

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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