『困難を乗りこえる 強い自分のつくり方』

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石橋真

リクルートは人材輩出会社と言われる。「独立」「起業」のイメージも強い。そのベースが「お前は、どうしたいの?」という問いから生まれる当事者意識だ。リクルートの新人研修で、ある企業の管理者セミナーを見学したレポートを書かされた。僕はセミナーの内容や手法、講師にについて学んだ点や批評を書いて提出した。
そうしたら営業部長に呼び出され、レポートを投げつけられて、叱られた。「石橋、お前はこのセミナーを見学して今後は何を改善して何を提案すべきだと思っているんだ?それが書かれていない。お前には当事者意識が足りない!」と。当事者意識とは、自分とは直接関係のない仕事や部署のことであっても、自分はひとりの関係者であるという意識を持って、「自分ならどうしたいか?何をなすべきか?」と考えて発信・行動することをいうのだ。

「他人事」を「我事化」するのだ。当時のリクルートの誇りは、「偉大なる素人集団」というものだった。リクルートは、新聞の求人広告のしくみもわからないド素人の江副さんが、学生時代に「企業への招待」という学生求人誌を創ったことから始まった。素人だからこそ業界や顧客に思い切った異質の提案を出せる。新人だからこそ、思い切って自分の意見を出せるというDNAだ。

僕は、この当事者意識はキャリアが高まるにつれて4つの段階を上ると思っている。
第1段階が「自分」。自分は、自分をどうしたいのか?
第2段階が「他人」。自分は、お客さまや職場メンバー をどうしたいのか?
第3段階が「会社」。自分は、会社をどうしたいのか?
第4段階が「社会」。自分は、社会をどうしたいのか?

人や会社を批判したくなったら、自分に問いかけてみよう。「自分ならどうしたいのか?」と。それを「他人」「会社」「社会」へと発展させてみれば、内側から強いエネルギーが湧いてくるのが分かるはずだ。

〇小山薫堂『「勝手にテコ入れ」トレーニング』
日々、目に入るあらゆるものに、勝手にテコ入れする訓練(トレーニング)だ。たとえば、レストランに入ったら「自分だったらこういうメニューを出すのに」、とか「こういうサービスをするのに」とコンサルになったつもりで、勝手に考えてみるトレーニング。別にお金をもらうわけでもないのに、「ここの経営者にはこんなプレゼンをする」と考えてみる。これは当事者意識を身につける最高のトレーニング法だ。当事者意識の弱い人は、すべてにわたって他人事のように考えてしまい、自分のこととして捉えない。
どんなに素晴らしい講演を聞いたとしても、「素晴らしい講演でした」とか「すごい話でした」では何も身になっていない。当事者意識の強い人なら「自分ならこうする」「今日から必ず〇〇の習慣を身につける」「明日から会社で〇〇を始めよう」と思う。我事(わがこと)として捉えるのだ。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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