社員のやる気

Pocket

やる気の国際比較調査があった。日本企業の社員が会社の仕事に対して示すやる気は、欧米よりも低くなっており、アジアの中でも劣っていた。

〇金銭的報酬アメリカでは所得が7万5千ドルを超えても、社員の幸福感は一律で、高まらないことが分かった。
米プリンストン大学、ダニエル・カーネマン


社員一人一人の幸福の在り方によって求める金銭額は異なる。一定額を超えると、金銭的報酬には一律の効果は無くなる。むしろ個々の社員が、それぞれ求める幸福の在り方に配慮して報いる方が、動機づけには効果的である。
カナダ・トロント大学、ゲーリー・ラトハム教授

〇ジョブ・エンゲージメント社員と会社や職務とのマッチングの高さが、仕事への積極的な関わりと業績の上昇をもたらす。業績向上に結び付く条件
1.会社との価値観の適合の高さ
2.職務に対する会社の支援の多さ
3.職務に自分が相応しいと考える自己評価の高さ
米カリフォルア州立大学、ウィリアム・カーン教授

〇業績評価をフィードバックするタイミングタイミングが適切であれば、社員はやる気を高める。社員が良い仕事をしたならば、できるだけ早い時期に的確に評価内容を本人に伝える。評価のフィードバックや報酬付与のタイミングが遅すぎると、社員による評価のディスカウントがなされて、かえってやる気を、そぐ面がある。
カナダ・カルガリー大学、ピエール・スティル教授

日本企業の特徴であるが、正社員の遅い昇進は、報酬のタイミングとしては疑問だ。ゲーミーフィケーションゲーム世代の社員に合わせ、ゲーム感覚を導入した動機づけ理論。現在の業績評価情報へのリアルタイムでの接触と、達成に応じて仕事の内容を段階ごとに面白くする工夫が、やる気を高める。現在の業績スコアを即座にフィードバックしつつ、良い仕事をしたら、次のステージで、より高度な業務を与える。
米イリノイ大学、テレサ・カーディダー助教授

〇チームワークに対する動機づけ個人の動機付けも大切だが、会社としては、チームや組織に貢献する意欲を社員が高く持つ事を重視する。チームとして共通のモノの見方の働きに注目する「社会的認知理論」を用いる。社員がチーム独自の目標と達成のやり方を共有する動機づけのメカニズムを重視する。
1.業務に対するチーム共通の認識の仕方
2.報酬配分の原理
3.チームで求められる能力と知識
オランダ・フローニンゲン大学、ジーグバルト・リンデンベルグ教授

チームワークの動機付けの基礎として、チームとして相互に協力と扶助を行う「向社会的」な行動の意識を持つことが重要だ。この意識は、チーム内での普段の相互交流や意識作りだけでなく、「チームのイメージを良くしたい」という功利心の共有からも促進される。
従来のアンケートによる意識調査だけではなく、今日の脳科学の発展の成果も取りこまれるだろう。個人がやる気になっている状態や、フィードバックの最適なタイミングの分析にも利用される。
社員の脳活動状態の分析や彼らの意識と行動のビッグデータ分析は、ここでも貢献してくれるだろう。社会の多様化が進む中で、社員個々人も異なる幸福を追求している。
そこで社員のニーズについての大量データを解析し、個々人に合わせた、金銭とそれ以外の適切なタイプと量の報酬と人事制度を個別にデザインする事は、動機付けには効果的である。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

Pocket