『孤独地獄』

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吉野一道

人は「私は必要とされている」と知った時、力がみなぎり、元気が湧きます。自分を必要としてくれる人との出会いは、人生を変えるほどの力があります。
会社でも同じです。「君の力が必要だ。頼むぞ」と励まされれば勇気百倍です。自分が必要とされていることを知った時の喜びは、刹那的な肉体的快楽とは比べられません。
ところが、「えっ、お前いたのか・・・」とか。そんな扱いを受けると途端に意気消沈してしまう。家庭では相手にされない。職場ではいてもいなくてもいい。・・・・辛く、寂しく、死にたくもなってきます。
自殺者の主な要因は、実はここにある。
ある学者が多くの自殺者の遺書の内容を調べた。
結果、借金や病気や人間関係のトラブルや絶望感は、自殺者にとっては、それほど重大な要素ではないと分かった。
遺書から明らかになったのは、「自分が周りの人たちのお荷物になったと感じたから」だった。「自分なんか、いなくてもいい。いや、いない方がいいのだ・・・」そんな孤独感が人を死に誘うことが分かった。
大金や贅沢品に囲まれ、美味しい食事をして好きな場所に自由に行けても、誰からも必要とされない孤独を癒すことはできない。誰もが自分を必要としてくれる人との出会いや絆を求めているのは、その為だ。そんな人との出会いや絆を求めて、老若男女が今日も「寂しい、寂しい」とさ迷い続けている。
これを仏教では「孤独地獄」と呼んでいる。

エンジンオイル、OEM仲間の経営塾より

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