『すごい学習メソッド』

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藤野雄太

われわれは、思考停止に陥るとつい、欲しい結果をそのまま命令形にしてしまいがちです。「成績を上げろ!」とか「売上を上げろ!」とか「生産性を上げろ!」とか(笑)。これでできるなら、その人はおそらくあなたの上司になっているでしょう。
「勉強のために遊びを制限すると、成績は伸びなくなる」「苦手科目にフォーカスすると、子どもがますます勉強嫌いになってしまう」「お母さんの関心が「成績」に移ると、子どもは勉強をしなくなる」「「できる・できない」を評価にすると、子どもは自信を失う」
一人一人をよく観ること。相手に合わせた指導をすること。「勉強しなさい!」と言われて、「よっしゃー、勉強する気になってきたー!」なんて思う子どもはまずいない
人間は周りからの指示、強制を嫌う生き物です
小学生ならば趣味やゲーム、習い事、中学生であれば部活など、何か1つでも自分が好きなことに打ち込んでいる子どもは、心のエンジンがちゃんと育っています。心のエンジンとは、いざというとき、力を発揮できる力。心のエンジンが育っている子どもは、好きではない勉強もがんばることができます
子どもは、お母さんに自分の得意なこと、好きなことに関心を向けてもらい、認めてもらいたいのです。認めてもらうことなしに、テストの点数を責められたり、親や先生の期待に応えることを強要されたりするから、勉強嫌いになってしまうのです
子どもが抽象的な概念を理解できるのは、小3か小4くらいからです。割合、速さ、分数など、実際の目で見ることができない抽象的な概念は、小1には理解できません。「森」は理解できても、「森林」は理解できません。もちろん、機械的に分数の計算のやり方を覚えて解くことは可能です。答えは出せても式の意味までは理解していません

●中1のテストの点数が下がるのは当たり前
中学1年生の最初の英数国理社の5科目平均点が仮に70点だったとします。その場合、2学期のテストでは65点、3学期のテストでは60点と下がり続けます。これは子どもの学力が下がっているからではありません。単に、平均点が下がっているのです
「宿題の量は自分で決めていいからな。0ページ、2ページ、4ページ、好きなのを選んで!」そうすると、子どもは最初は喜んで0ページを選択します。しかし、1か月も続けると、子どもは0ページを選ぶことに耐えられなくなり、「先生、宿題やらなくていいの!?」と声をかけてきます
多くのお母さんが理屈から入ります。よくある常套句は、「勉強をしておけば、将来幸せになれるよ」ですが、子どもは理屈では動きません。「将来幸せになれるといいね。そのためには勉強が役立つよ」のように、感情が先で、理屈はあとです

●子どもに選択肢を与えて、やる順番を自分で決めさせる「英語の点数を上げるのに大事なことは3つだよ。英単語、英熟語、英文法。どの順番でいつ勉強するかは自分で決めてね」

●わからない理由は3つしかありません
1.基礎知識が抜けている
2.国語力が不足している
3.学問の意義がわかっていない
部下に何かを強制してしまう、好きなものを否定してしまう、教えるタイミングを間違う、習熟レベルも確認せずに高度なことを教えてしまう、絶対達成値を重視しすぎるあまりに、全体が下がっていることに気づかない…。
上司が犯しがちな過ちがほとんどすべて、行き詰まっている「お母さん」を上司に、「子ども」を部下に変換して読んだら、そのままマネジメントの実践書に変わります。

エンジンオイル、OEMの仲間の経営塾より

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