『一日一戒 良寛さん──清々しい人になる90の教え』

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曹洞宗徳雄山建功寺住職、枡野俊明

《問わず語り》
聞かれてもいないことを自分から話すのは無粋です。誰かと話していて楽しいのはどんな時でしょう。自分が興味を持っていることについて話してくれたり、おもしろいと思える話題を提供してくれたりした時は、それにあたると思います。逆にいえば、興味がまったくない話やちっともおもしろいと思えない話をされても、楽しくはありませんし、その場の居心地も悪くなるということでしょう。いわゆる興ざめ、今ふうに言えば“どん引き”の状況です。

やっかいなのは、人には自分が興味のある分野やおもしろがっていることを他人に語りたいという衝動が、少なからずあることです。そこで、悪気はないのについつい、どん引き状況をつくり出してしまうことにもなる。話題を切り出したら、ワンクッション置いて、相手を観察してはいかがでしょう。興味のあるなし、聞きたい話かそうでないかは、必ず、表情や言葉にあらわれます。

「最近ワインに凝っていてさ。ワインってじつに奥が深いんだ」そんな話題を振って、しばしウォッチング。「ワインは好きでよく飲むよ。詳しくはないんだけれど、産地はどこがおすすめ?やっぱり、ブルゴーニュとか…」相手がこんな対応なら、ワイン談義はその場を盛りあげること必至です。
しかし、「…ふ~ん、ワインねぇ…」といったものだったら、その話題は打ち切りにして、話をほかに転じましょう。問わず語りは自分よがり、相手を置き去りにします。「ワンクッション&ウオッチ」を忘れないでください。

エンジンオイル、OEMの仲間の経営塾より

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