「息子が社長になれなくても会社が残ればいい」

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ある社長さんは、引き際は自分で決めると答えたものの、会社の後継者は血縁でなくても構わないと語りました。「周囲にあれこれ言われなくても、引き際は心得ているつもりだ。経営者として世の中の流れについていけなくなった時は、潔く後進に社長を譲るよ。経営能力のある人間にね。無理に息子や血縁を社長にしなくたっていい。私が死ねば、その持ち株は彼らが相続する。社長になって苦労するより、会社が続いて配当を受けられる方が得だろ」

創業者や代々親族で引き継いできた会社の社長さんには、その座は息子や親族に継がせるべきだと思い込んでいる人も少なくありません。しかし、能力のない肉親を無理矢理社長にしたり、経営者として通用しなくなっても社長の座にしがみついていたら、会社はどうなるでしょう。業績が上がるとも思えませんし、破綻する恐れさえあります。会社の経営は能力ある他人に任せ、自分や妻子は株主として配当にありつく方が得だと、彼は言うのです。

この社長さんが偉いのは、会社のオーナーと経営者は別のものとして、実力本位で後継者選びをしようと考えているところです。彼の息子も現在、同社の役員の一人ですから、実際に同族以外の社長が誕生するかどうかは微妙です。ただ会社が儲かれば、大株主である彼やその一族は十分な配当の恩恵にあずかれます。能力のない息子や親族を社長にして会社が破綻するより、はるかに安全・安心な投資だと思っておられます。

オーナー企業や同族企業の場合、経営者は血族を後継者に据えることにこだわるより、会社を未来永劫に残せるような能力ある人間を社長にする方が、結果的には一族にとって得だと言えます。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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