『「移動」の未来』

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エドワード・ヒュームズ

人口爆発が起きる未来において、都市の栄枯盛衰を決めるのは、「物流」です。というのは、人間が物質的存在である以上、生きるために「物資」が欠かせないから。かつての世界の良港は、21世紀においても中心地であり続けるでしょうし、運ぶものも、本質は昔と大差ないでしょう。ただ、ますます増える人口を支え、かつ省資源を実現するには、物流システムの変化が必須。

405号線周辺のスモッグはいつもの10分の1になり、大気汚染物質は市全体で25%減少した
アメリカ人は1時間あたり3億4400万マイルの距離を運転し、1日あたり(アメリカの全家庭の1日の収入の3倍にあたる)550億ドル分の荷物を運んでいる
なぜ現在の車の標準的な車幅が6フィート(約1.8メートル)であるのか、ご存じだろうか。工学的に優れているから? あるいは、材料を効率的に使うため? 答えはそのどちらでもない。2頭立ての馬車の幅が最低6フィート必要だったという、いまの時代とは何の関係もない慣習であり、しきたりにすぎない
アメリカ人が路上で過ごす時間は国民全員合わせて1年に1750億分(!)であり、コストに換算すると5兆ドルに相当する
物品の移動のほうが、移動する物品の製造よりも、はるかに多くの雇用を生みだしているのだ。

「子どもに国際物流の学位を取らせれば、食いっぱぐれの心配はまずないでしょうね」と、UPSのアメリカ西部地域担当責任者は語る
同じ事故で小型車に乗った人が重傷を負う確率は、SUV以外と衝突した場合より42%も高かったのである。繰り返すが、どちらに落ち度があったかは関係ない。
痛めつけられるのは、軽い車に乗った人のほうなのだ

新車の購入代金に数百ドル上乗せするだけで、呼気分析をして法的に酒酔いと判定された人にはエンジンをかけられないようにする装置を取り付けることもできる
マロンによれば、自動車による暴力が発生するおもな原因は、時代とともに街路(ストリート)と道路(ロード)の区別が曖昧になり、混同されていることにあるという。街路は富を築く基盤であり、道路は2つの地点をできるだけ速く移動するためにある
ドミノ・ピザ社の本当のビジネスはピザづくりではない。物流と輸送なのだ。実際にピザをつくって販売するのは、世界中に1万1600ある個人所有のフランチャイズ店だ

世界の物流を牛耳る6大海運会社の筆頭は、デンマークに本拠を置くマースクライン社だ
幹線道路の上ではトラックが最も重要な乗り物
インリックスはマイクロソフトから独立してできた会社で、無料のスマートフォン・アプリを開発している。それはリアルタイムで世界中の交通情報を集めるアプリで、政府が何十億ドルもかけたセンサーや交通カメラよりも高性能だ

(無人自動車で)駐車場がなくなる影響はとりわけ大きい。
駐車場は、私たちの時間を無駄にしていただけではない。経済の足手まといであり、癌のように情け容赦なく増殖する貪欲な土地食い虫でもある

最近、話題の「自動運転車」も、ベンチャーの成功事例として挙げられる「Uber」も、結局は増える人口を少ない資源で支えるという、大きなトレンドに沿ったものなのです。
週末に徒歩やバイク、地下鉄やバスに加え、<ウーバー>や<サイドカー><リフト>などのアプリを利用して車やタクシーの相乗りをした人々は、自家用車が決して必須のものではないことに気づいた。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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