『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』

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高城剛

外国人観光客の増加は、一時的とは言え人口増と実質的には同じ。ただ、需要は永住する日本人とは著しく異なります。世界中の国家が観光収入を大きな財源と見るようになったこの十数年、各国で様々なカジノやIRが展開されているが、ジリ貧の衰退に向かっているのがカジノであり、国の経済を支えるほどに成長しているのがIRなのである

アデルソンによる「カジノ」と違う新しいアイデアは、のちに「IR」(統合型リゾート)と呼ばれることになり、日本のソフトバンクから得た資金で大きく開花することになる。

2007年にマカオで「ベネツィアン・マカオ」を、2010年にシンガポールで「マリーナベイ・サンズ」をオープンしたアデルソンは、IR事業の生みの親であると同時に、最も成功したIR事業家となった
シンガポール国民には1日100シンガポールドルの入場料を賦課し、もしも国民がギャンブル依存症になった場合には、本人だけでなくその家族全員がカジノ施設内に入場できないなどの厳しい規制もつくっている
マリーナ・ベイ・サンズの集客において、最も大きな役割を果たしているのは、大型MICE施設だろう。ここにはアジア最大級の国際会議場、国際展示場がある。延べ床面積12万平方メートル、東京ドーム2・6個分の広さで、その収容人数は4万5000人以上。
ここの特徴は、長年コンベンションセンターを運営してきたサンズならではの、「使い勝手のよさ」にある

IR施設が他にはない魅力を持つのは、他では考えられない「斬新な店」が登場することにある。一店で見れば赤字でも、IRすべてで見れば問題ないことが、まさに「統合型」の魅力に他ならない

3000万人のうち、2700万人は中国・香港からやってくる「チャイナ・マネー」が流れ込んだ場所は一体どこか。そう、マカオのカジノだ。そしてこれこそが、外国資本への市場開放からわずか4年でマカオが世界トップのカジノ大国となった背景であり、やがて陰りを見せる原因ともなるのである
冷静さを保ち、薄く、薄く勝っていく人間が最終的には勝つのだろうし、これは人生におけるあらゆる教訓と同じだろう

スイス金融大手クレディ・スイスが、「フィリピンのカジノ産業の市場規模は2018年までに56億ドル(2016年10月現在、約5600億円)を超え、シンガポールを上回る」と予想(2013年3月22日時点)
現在でもフランスが海外旅行者数受け入れナンバーワンであり続ける背景には、2009年の法改正で設立された「フランス観光開発機構(アトゥー・フランス)」の多様な戦略展開がある
参加には国、地上自治体、観光業者やフランスの経済セクターによる1300の会員が連携し、効率的に国内外の観光客へフランスの魅力をアピールしている。

ミシュランガイドのようなレストランの「格付け」は有名だが、ホテル、小さな村々の景勝まで格付けし、ツアーを企画し、国内の隅々にまで観光客を送り込めるようにした

世界が成長し、グローバル化するということは、世界中で生まれた富裕層がエンターテインメントを求めて動き回る、ということでもあります。われわれ日本人が雑誌やネットの記事を見て、飲食店に移動する感覚で、富裕層がジェット機に乗ってカジノやIR施設を訪れる。そんな日がもう間近に来ているということです。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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