『小さな人生論』から 

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致知出版代表・藤尾秀昭

老人が松の苗木を植えていた。通りがかった君主が老人に年齢を尋ねた。「八十五になります」君主は笑った。「その松が立派な木材になっても、自分では使えないだろうに」と。
八十五翁は言った。「国を治めている人のお言葉とは思えませぬ。私は自分のためではなく、子孫のために植えているのです」
君主は恥じ入るほかはなかった。太宰春台の『産語』にある話である。

人を育てるのもまた、かくの如しだろう。一人ひとりを丁寧に教育し、根づかせ、成長をうながす。だが、そうして育てた人たちが担う時代の豊かさを、先人が享受することはない。それでも人を育て続けなければならない。それは命を受け継いで後から来る者に対する、先行する者の不可欠の責務なのだ。

人生は駅伝のようなもの。タスキをつなぎ続けていく。なので、よりよいタスキをつないでいってあげないといけない。私たちの責任は実は重いのですね。

エンジンオイル、OEMの仲間の勉強塾より

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