「ギブ・アンド・ギブの時代」

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志賀内泰弘

ギブ・アンド・テイクは昔からある言葉です。でも、このギブ・アンド・ギブも、最近あちこちで耳にするようになってきました。
人に、与えて、それでも与えて、見返りを期待しない生き方こそが、結局は幸せになれる一番の近道なのです。
そうお話すると、あるとき、会場から反論がありました。「それじゃあ、自分は死ぬまで損するだけだし、貧乏になってしまう」と、たしかに、見返りを期待せずに善行を施すのは、難しいものがあります。これからはギブ・アンド・ギブの時代ですよ、と喋っている本人だって、なかなか実行できていません。
そんなとき、ダスキンの創業者である鈴木清一氏の言葉をお借りすることにしています。
《貪欲な人になるな》
ぬけ目なく、損をしないように上手に立ち回る人がある。ところが、反対に自分が損だ、と分かっていても上手に立ち回れない人もいる。それぞれの人柄である。
ただ長い人生で、本当に損をしないのはどちらであろうか?すくなくとも、貪欲な人は世間から好かれない人である。
鈴木氏は、「得な道と、損な道があったら、迷わず損な道を歩いてきた」とも言っています。そして、損をするどころか、一代で大企業を育てあげました。
どうしても、人は目の前の利益に心を動かされてしまいます。でも、見返りは、与えたその人から返ってくるとは限りません。まったく予期せぬ方向から、突然やってきたりします。それも、忘れていた頃に。
常に、損得でしか動かない、という人は、自分の利を真っ先に考えてしまい、心底、人を喜ばせることができない。見かえりを求めてしまうからだ。
「ギブ・アンド・ギブ」の人は、決して見返りを求めず、人が喜んでくれることが、ただひたすら嬉しい。
好きか嫌いか、楽しいか楽しくないか、を考えて動く人は、損得を基準にはしない。人間的な魅力のある人だ。
反対に、効率第一、損得や打算の「貪欲な人」には、人間味も余韻もない。

エンジンオイル、OEMを生業とする我々は、楽しいか楽しくないかで決めましょう。

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