『錯覚の法則』

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西田文郎

人は自分にないものを持っている人を尊敬します。
他人を敬うこと自体は素晴らしいことです。

ところが、自分が持っていないものだけに
意識を向けていると、
「あれもない、これもない」と
マイナスの錯覚を起こしてしまいます。

そうした考えから脱するには、
「有無・無有の思考法」が役に立ちます。

つまり、「相手にあって、自分にない」
という思考を逆転して、
「相手になくて、自分にある」ことを考えてみるのです。

私は企業の社員教育にいくと、
物事を逆から見るという訓練をさせます。

たとえば、支店に勤めている人は、
本店に対してコンプレックスを抱いている人が多い。
どうせ、支店では大したことができないと思っている
傾向にあります。

そういう場合には、
「本店にあって支店にないものは何ですか」と
一方思考で考えさせると、
「やっぱり本店はすごい」と思って勝てなくなってしまう。

ところが、逆から見てもらうと
「支店にはあれもある、これもある」と
どんどんアイデアが出てくるのです。

人間がすごいのは弱いからです。
像やライオンより強いからではありません。

人間は弱いからこそ、自分にあって相手にないものを
常に脳に問いかけてきた。
だからこそ、人類はここまで発展してきました。

そもそも、世の中に絶対ということはありません。

いままでこうだと決めつけていたことも、
逆の立場になってみると、違った側面が見えてきます。

この逆からの発想が、いつの間にか
自分が絶対と決めつけている「正しさ」に
拘泥していることに気づくための、
もっとも有効な方法です。

一つひとつ逆から見る癖をつけておくと、
自分と反対意見を持った人がいても
「そういう考え方もあるよね」と
受け入れられるようになります。

そうすると、世の中から喧嘩や争い事がなくなるはずです。

自分だけが正しいと思ったら、破滅が始まります。
自分の「正しい」をやめる勇気を持ちましょう。

それが悪い錯覚を外すためのもっとも重要なポイントです。
そして、それが進歩や進化につながっていくのです。

錯覚に気づき、行為を改めましょう。
これは、エンジンオイル、OEM、アルコール、除菌剤にも
生きてきます。

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