『マッキンゼーで25年にわたって膨大な仕事をして わかった いい努力』

Pocket

山梨広一

「きつい仕事」への着手の遅れがすべてに影響する
「早さ」と「速さ」の両方が、いい努力のためには不可欠だ。

「早さ」について言えば、
人より先に動くようにする姿勢が、自分の行動を早くする。
誰よりも早くスタートを切る先進性を持とう。

「速さ」については、時間を限って仕事をしない限り、
スピードは上がらない。
トレーニングを重ねないと足は速くならないのと同じことで、
仕事もスピーディにやり続けなければ、
いつまでたっても遅いままだ。

「早さ」と「速さ」の双方を意識して、
先進的かつスピーディに働いていると、
早さと速さが相乗効果で上がっていく。

コンサルタント時代、「速さのプロジェクト」という仕事を
手がけたことがある。

第1に業務の取捨選択、つまり不要な仕事を仕分けして、
第2にBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、
仕事の流れの改革をした。
たとえば製品開発などで、
これまでは最後にやっていた品質確認を
プロセスの早い段階に持ってきてやり直しを削減するとか、
順番にしていたことを同時並行でやるようにするとか、
そういったことだ。

ポイントは第3の取り組みで、主要部門の業務すべてについて
一つひとつ洗い直すことにした。
まずは当該部門に若いコンサルタントを1週間配置して、
社員の働き方をひたすら観察した。
すると、ルーティンで処理できることを、
重要な仕事のように時間をかけてやっているケースが多い
ことがわかった。
これでは組織全体のスピードが上がらなくてもしょうがない。
だが、これは多かれ少なかれどこの職場でも
起きていることだ。

では、なぜそんなことになるのか?

ひとつの理由は、誰も自分たちが一生懸命やっている仕事が
ルーティンワークだとは認めたくないからだ。
だから放っておくと、どんな仕事をしている人も、
自分の仕事がいかにも難しい仕事であるかのように
時間をかけてしまうようになる。

あるいは、本当に時間をかけなければこなせない
難しい仕事から逃げるために、
ルーティンでできる仕事にエネルギーを費やしている
ということもある。

これは早さと速さに逆行するケースだ。

負荷のかかる仕事への着手が遅くなれば、
それだけ自分を鍛える機会も減る。
これでは早さも速さもいつまでも上がらない。

エンジンオイルのOEMも同じです。
負荷のかかる難しい仕事を後を回しにしていると、
自分の成長が遅れるだけだ。


Pocket