なぜソフトバンクの投資先はことごとく歪むのか

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中島聡

The SoftBank Effect: How $100 Billion Left Workers in a Hole

WeWorkの上場失敗で
大きな損失を計上せざるを得なくなった
ソフトバンクですが、
このNew York Timesの記事は、それとは少し異なる面から、
ソフトバンクのビジョンファンドの問題点を
鋭く指摘しています。

ソフトバンクは、WeWork以外にも
Uber(ライドシェアリング)、Oyo(ホテル)、
Didi Chuxing(ライドシェアリング)、
Ele.me(フード・デリバリ)、
Manbbang(ロジスティックス)などに
大量の投資を行なっていますが、
それらの多くに共通するのは、Uberの様に
個人事業者を束ねてサービスを提供するスタイルの、
ギグ・エコノミーと呼ばれるビジネス・スタイルです。

この手のビジネスを立ち上げるためには、
サービスの提供者と顧客の両方が必要です。
これらの企業は、ソフトバンクからの豊富な資金を活用して、
サービスの提供者にはインセンティブ(収入保障など)を、
顧客に対しては大幅な割引を提供することにより、
一気にビジネスを立ち上げる、という手法で
シェアを一気に拡大しています。

しかし、そんな赤字垂れ流しの戦略は
いつまでも続けられる訳がなく、
どこかで破綻してしまうのです。

WeWorkの場合は、破綻前に上場を試みたものの、
上場目論見書を丁寧に読んだ投資家たちが、
そのビジネスモデルの根本的な問題点を指摘したため、
上場が出来なくなってしまったのです。

中小のホテルを束ねて共通の予約システムを提供するOyoも、
破綻に向かってまっしぐらに進んでおり、
その結果としてOyoに参加したホテルのオーナーたちが、
多大な損失を被ることになっているそうです。

同じ様な歪みは、ソフトバンクが資金を提供した
ほとんど全ての企業で発生しており、
この記事は、その原因がソフトバンクからの
「潤沢すぎる資金」にあると指摘しているのです。

ベンチャー企業の成長には資金が必要ですが、
本来であれば、まずは
「ちゃんと利益が上がるビジネスモデル」を構築した上で、
そのビジネスを大きく成長させるために
資金を使うべきなのです。
しかし、残念ながら、ソフトバンクの投資先の多くは、
早すぎる段階で資金を潤沢に与えられてしまったため、
まともなビジネスモデルを構築せずに
突っ走ってしまっているのです。

エンジンオイルのOEMは、資金にはこだわらずに
きちっとビジネスモデルを構築しましょう。

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