『靴下バカ一代』

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越智直正

経営には、王道と覇道がある。

王道は質の経営、覇道は量の経営であり、
規模拡大を第一義とする会社は、
まず覇道の会社と言っていいでしょう。

しかしながら、中小企業が良い会社を作ろうと思ったら、
目指すべきは王道の経営。

王道を堂々と歩み、
靴下業界で確固たるポジションを築いたタビオ
(「靴下屋」で有名)創業者の越智直正

50年以上前、丁稚奉公先の大将によくこう言われたんです。
「音楽家や絵描きが自分の思いを形にしたら楽譜や絵になる。
靴下には靴下屋の心や精神が表れるんや。
靴下だと思うな、自分自身やと思え。
いい靴下を作りたければ、人間を磨け。
人格にふさわしい商品しか作れない」

☆大将から教わったこと 
・商品と残品は似ても似つかぬものだ。
商品は利益を生み、残品は赤字を生む
・計算ばかりするな。キタナイ商売人になるぞ。
そろばんぐらい目ではじけ
・予算などあるか。予算は発想を限定する
・まず頭を使え、次に体を使え。銭は最後の切り札だ。
銭さえ出せば馬鹿でもできる
・儲けの秘訣は、貧乏人は金持ちを、
金持ちは貧乏人を相手にすることだ

一生懸命に頑張っていれば、仕事があなたを守ってくれる

自分で職業を選ぶのではない。仕事があなたを選ぶのです

☆ダン(タビオの旧社名)の創業理念
「凡(およ)よ、商品は造って喜び、売って喜び、
買って喜ぶようにすべし。
造って喜び、売って喜び、買って喜ばざるは、道に叶わず」
※二宮尊徳の言葉をアレンジした

その頃、紳士物市場は大手メーカーが
かなりのシェアを押さえていました。
これに対し、当時まだ市場規模が小さかった婦人物には
大手はあまり手を入れておらず、
参入企業は中小メーカーや問屋が中心。
婦人物だからと、品質よりデザインを重視するメーカーが
ほとんどでした。
僕は自分のところの靴下の品質に
絶対の自信がありましたから、
この市場に懸けた。
おかげさまで気付いたら
婦人物靴下のトップブランドになっていました

競争をして覇道に入ってしまえば、
経営の楽しさがなくなってしんどい部分だけが残る。
相手からも疎まれる。
だから、そうならないように、
僕は誰が何と言おうと戦わない経営をする。
同じ戦うならば、自分の理想と戦いたいと思うのです

仲間の利益をまず優先せよ

☆隋の文帝楊堅の妻、伽羅からの手紙
「あなたは天下取りという
一日に千里走る虎の背に乗っているのです。
乗った以上、途中で下りることはできません。
もし途中で下りれば、たちまちその虎に食い殺されますよ」

僕は経営というのは商品の研究だと思うんです。
商品が良くなかったら売れない。
売れなかったら経営なんか何の役にも立ちしませんのや

エンジンオイルのOEMにも、越智さんの考えが必要です。
忘れてはいけませんね。

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