「社長は、ぜんぶ好き嫌いで決めなさい」富田英太

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★「経営は『理論』よりも『直感』であり、 
 ”すごい社長”はとにかく我儘&自己チューだ」

「好き嫌いで経営」と言うと、とんでもないことのように
思われるかもしれません。 
10人中9人の人が、「経営は、自分と異なる意見にも
よく耳を傾けて進めなければならない」と言います。 
ワンマン経営は、悪い経営の代表のように言われます。 
しかし改めて考えてみると、成功する経営者はみんな、 
周囲の人にそっぽを向かれても、 
強い逆風が吹いても、非合理なことと分かっていても、 
自分の「好き嫌い」で決めたことをやり続けて、 
そして最終的には、なぜかうまくいっています。

★「『好き』を成功に導く、たった一つの心がまえ」 
利益「だけ」を追求していい時代は終わった

「経営は好きか嫌いかで決めていい」、
つまり「わがまま」に振る舞っていい。 
そもそも「わがまま」とはどういうことなのでしょうか? 
一般的には自分勝手、無責任などマイナスのイメージで
とらえられがち。 
しかし辞書で引いてみると、「自分の思いどおりに
振る舞うこと」というような定義が最初に載っている。 
「自分勝手」は、そのあとに続いてくるものです。 
つまり「わがまま」とは、必ずしも悪い意味ではない。

自分の直感や感性を信じて起業したり、
新しいビジネスをはじめる人が非常に増えてきている。 
彼らに共通するのは、
「好き嫌い」でものごとを決め、 
やりたいと願っていることに対して
徹底的に忠実であるという点です。 
つまり、「わがまま」なのです。

わがままさゆえに、
「儲けることを考えていないんじゃないか?」と、 
本末転倒なことをやろうとしているように
見えることもあります。 
ところが、わがままな彼らは、
利益を軽んじているわけではなく、 
利益以上に「自分がやるべきこと」を
追求しようとしている。

事業者は、利益「だけ」を追求していてはいけません。 
すぐに売れるもの、すぐに成果が出るものだけを
求めてはいけません。 
それではこの先の時代を生き抜くことは難しくなります。 
先行きが不透明な時代にあっては、
むしろ世の中の流れや常識とは 
異なったやり方を選択することが重要。 
自分がつくりたいもの、商いたいものに対して
徹底的にわがままになること(こだわること)。 
それこそが、これからの成功に必要なことです。

★わがまま経営に必要な「下地」

ただし、わがままは、ひとつ間違えると人を不快にする 
本当の「ワガママ」になってしまいます。 
しかも自分勝手になってしまうと、
人はついてきてくれません。 
それでは、事業の成功も望めないでしょう。 
では、どうしたらいいのか?

「どこをめざすのかを明確にし、きちんと伝え、 
そして納得させていく作業を怠らないこと」が大切だ。 
わがまま経営を実現させるためには、
周囲とのコミュニケーションが不可欠だということ。

そしてコミュニケーションをとる際には、
(程度の差こそあれ) 
周囲の人もまた「自分の好き嫌いを突き通したい」と
考えているということを意識すべき。 
自分自身がそうであるように、
周囲で働く人や協力してくれる人にも、 
それぞれ理想とする将来像があるということ。 
だから、自分の好き嫌いは、
往々にして他人のそれと対立するもの。 
そこでいかにうまくバランスをとるかに、 
わがまま経営が成功するか否かのポイントがある。

自分の好き嫌いを通そうとする以上は、 
彼らの好き嫌いも尊重するべきだ。 
周囲に人がいてくれるということは、
ある程度以上のシンパシーを持ってもらえているから。 
だからこそ、周囲にいてくれるわけです。 
つまり、わがまま経営をするために必要な下地は
すでにあるということになるはず。

そこで、そんな状況に感謝し、
具体的な形にすることが大切。 
役職や肩書、役割や部門などのしがらみは捨て、 
「これをやりたい」という人に好きなようにやらせる。 
彼らのわがままを認め、応援することによって、
感謝の気持ちを表すわけです。

「こうしよう」と判断できたときは時代遅れ 
いまは、過去の成功体験が通じにくくなっている時代。 
情報インフラと情報量が、すさまじい勢いで発達し、
社会も急激に変化しているからだ。 

アメリカの経営学者・R・M・カンター
「企業の意思決定のスピードは、
企業を取り巻く環境の変化よりも遅い」

「こうしよう」「こうすればうまくいきそうだ」と考え、 
手はずを整えて実行する頃には世の中が変わってしまい、 
うまくいくはずだった施策も無効になっている。 
きのう成果を出すことのできたやり方が、
あすも有効だという保証はどこにもない。 
事実、ここでつまずいて倒産した企業はたくさんある。

だとすれば、どうしたらいいのでしょうか? 
重要なことのひとつは、先に触れた
「職や肩書、役割や部門などのしがらみを捨てる」ことだ。 
そういうことを超え、
「やりたい」という人に好きなようにやらせるわけです。 
「なにもしない」のは、失敗するよりロスが大きい 
ただし、「好きなようにやらせる」リスクはもちろんある。 
特に若いスタッフだった場合、
経験値は少なく思慮も浅いので、 
失敗する可能性も高くなって当然。 
しかしそれでも、そういう荒療治をしない限り、 
時代にインパクトを与える斬新な発想は
なかなか生まれない。 
従来のような年功序列型の指示命令系統のなかでは、 
無から有を生み出すような経験をすることは困難。 
その結果、会社が衰退していってしまう。 
これこそが、本当のリスクだ。

なにも新しいことをしなければ、衰退していくのは確実。 
その衰退によって生じるロスは、新しいことをして失敗し、 
そこから発生するロスよりも、ずっと大きい。 
だから、もう過去の成功体験や企業規模に
依存すべきではない。

大切なのは、仲間一人ひとりの個性や主張、
つまりわがままを大事にして、 
時代に左右されることのない
「新しい仕事の形」をつくっていくこと。 
それは、テクニカルな面では難しいことではない。

わがまま経営を続ければ、いつか理解者が現れる。 
日本は「空気を読む」ことが美徳とされる社会。 
他の人とは違うことをしようとすると、
揶揄されたり気持ち悪がられたり、 
ときには妨害されたりもするもの。 
しかし大切なのは、横槍が入っても続けること。 
するといつかは、活動を応援してくれる人たちが
必ず現れてくる。

つまり、そんな状況でこそ意味を持つのが
「わがまま経営」。 
自分が本当にやりたいことを見極め、
コツコツと継続し、成功するまで、もがき続けること。 
それに尽きる。

誰になにをいわれようが、最終的に「やる」のは自分。
責任を取るのも自分。 
誰もなにもしてくれないかわりに、
成功するまで貫けば、大きな成果を得られる。 
これは、まぎれもない事実です。

エンジンオイルのOEMにも、みんなの我儘。
つまり、多様性を取り入れないといけませんね。

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