『サラリーマン副業2.0』

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副業アカデミー代表、小林昌裕

これからの日本社会は、誰もが副業をするのが
当たり前になる。
その動きはまだ始まったばかりだが、 
政府主導で副業が推進されている。

2018年は「副業元年」と言われ、 
今後数年のうちに、この動きは加速していく。

すでに、ソフトバンクグループ、新生銀行、
ユニ・チャーム、ロート製薬、コニカミノルタ、
ソニー、花王、三菱自動車といった
大企業でも副業を認め始めており、 
今後幅広い業種・業態へと拡大していく。

なぜこれほど副業が拡大しているのか。 
その理由は、現在の日本社会が直面している
問題にある。 
すなわち、「少子高齢化」である。

東京オリンピックが終わった数年後の2024年には 
3人に1人が65歳以上という
「超々高齢化社会」が訪れる。

自分自身と日本社会の将来を考えるうえで、 
“人口減少”と“高齢化”は、無視できない大前提となる。

かつて当たり前だったはずの 
“昭和型キャリアプラン”が、 
まもなく終焉を迎えようとしている。

経済産業省の試算によると、 
「正社員になり定年まで勤めあげる」という
生き方をする人は、 
1950年代生まれでは34%だったのに対し、
1980年生まれでは27%。

「結婚して、出産して、添い遂げる」
という生き方をする人は 
1952年代生まれでは81%いたのに対し、 
1980年代生まれでは58%にとどまる。

「夫は定年まで正社員」 
「妻は子持ちの専業主婦で、一生、夫に添い遂げる」
という昭和のモデルケースのような家庭は、 
もはやごく一部の富裕層に限られる。

定年年齢も段階的に引き上げられており、 
1980年代前半までは55歳が一般的だったが、 
1986年に高年齢雇用安定法が制定されると
60歳定年が努力義務に。

2000年の改正法では65歳定年が努力義務となり、 
2012年改正法で完全に義務化された。

政府は現在、70歳定年を目指しており、 
これまでの流れから考えると、
2020年代には実現する。

「人生100年時代」と言われるなか、 
健康な人であれば、80歳ぐらいまで働き続けるのが
当たり前になる。

政府が定年を延長したがる理由は、 
公的年金の受給開始年齢を引き上げるためだ。

年金を含めた社会保障にかかる費用は、 
2011年度は約108兆円だったのに対し、 
2025年度は約150兆円まで増大すると見られている。 
このままでは、年金制度は破綻してしまう。

今の40代が高齢者になって年金を受け取れるのは、 
75歳か80歳になってから、なんてことになりかねない。 
しかも、給付額が大幅に減るのは間違いない。

現在の医療費の自己負担割合は6~70歳が3割、 
70~74歳が2割、75歳以上が1割 
(70歳以上でも現役並みの所得者は3割負担)
となっているが、 
いつまでも高齢者を優遇し続けることは、
財政上不可能だ。

平均余命で考えると、男性は90~100歳、 
女性は100~100歳超まで人生は続く可能性が高い。

今後も医療技術の進歩に伴い、 
平均余命はさらに伸びる可能性が高いと強調しており、 
平均寿命を基準に考えていると、 
多くの人が“思ったより
長生き”してしまうことになる。

また、政府は労働基準法を改正し、 
「時間外労働の上限規制」を打ち出した。

これまで残業時間は「月45時間、年360時間まで」
とされていたが、 
法的強制力はなく、
青天井でいくらでも残業することが可能だった。

大企業では2019年4月、
中小企業では2020年4月から適用され、 
時間外労働は確実に減る。

これは、企業側がこれまでのように 
無制限に残業した分の残業代を払うことが
できなくなるからだ。

残業時間の短縮化に伴い、
実質的に給与が削減される人も出てくる。

会社に所属していれば、将来は安泰という時代は、
もう終わりを迎えている。

90~100歳で死ぬのが当たり前になれば、 
80歳ぐらいまで働くことになるのは、 
何ら不思議ではない。

年金や健康保険といった社会保障費は 
財源的に極めて厳しい。

「60歳で定年を迎えて、老後は悠々自適に…」 
なんて悠長なことを言っていられたのは、 
70歳ぐらいで死ぬ時代で、 
なおかつ高度経済成長やバブル経済の余韻が
まだ残っていた時代、 
すなわち「日本が豊かだった時代」の話である。

日本は先進国であるとはいえ、 
もはや世界をリードしているとは言えない。 
停滞国、あるいは没落国ぐらいが、 
正しい呼び方である。

だからこそ、生涯働き続けることから
逃れることはできない。

「死ぬまで働く」と言うと、 
苦役が死ぬまで続くかのように捉える人もいるが、 
そういう人はぜひ、考え方を変えて欲しい。

引退した途端に家に引きこもって、 
運動もせずテレビばかり見ていて、 
あっという間に老け込んでしまったり、 
病気になってしまったりという人は、
いくらでもいる。

健康で長生きするためにも、 
適度に働き続けたほうが絶対に良い。

「教育→仕事→引退」という
昭和型キャリアプランが崩れると、 
人間関係や人付き合いについても、
考え直す必要が出てくる。

会社だけの人間関係ではなく、 
趣味や副業など多様なコミュニティを持つことが、 
より豊かな人生につながる。

副業をすることは単に副収入を得るだけでなく、 
世の中のニーズを知り、
自分自身の適性を再発見することにもつながる。

新たな領域に挑戦することで、 
社外の人から意外な評価を得られることもある。

また、副業をすることによって 
本業も伸びるというケースが少なくない。

「生涯現役こそ最高の年金」という、 
社会教育家の田中真澄氏は、勝負は後半だと主張する。

《人生、勝負は後半にあり! 能力開発は年齢不問》

20世紀までは「人生は60歳までが勝負」の
思いでやってきたが、 
平均寿命が伸び続ける長寿時代、 
「人生は65歳からが勝負」との考え方が必要だ。

人生の勝負が後半に移って、
定年以後の生き方が問われる。

65歳以後も活き活き生きるには、 
100歳まで生きる可能性に賭け、 
死ぬまで働く終身現役を目指すしかない。

少なくとも定年後は、
年齢不問の潜在能力の開発に、どこまでも挑戦し、 
得意なことを仕事にしながら、
己を高めていく生き方を選ぶべきだ

人生100年の時代を迎えたとき、 
我々は生涯現役を目指さなければならない。

なぜなら、国の年金や、社会保障は
年々助けにならなくなっていく。
「生涯現役こそ最高の年金」だからだ。

「自分の身は自分が助ける」という 
self-help(セルフヘルプ・自助)の考え方が必要となる。

生涯現役を目指そう。
生涯、エンジンオイルのOEMを続けます。

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