ストーリーで売上急増

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シュリッツ・ビールの成功例

1919年、シュリッツ・ビールは倒産寸前でした。
その売り上げは不振で、市場での売れ行きは5位。
何よりも倒産という高い可能性に直面し ていました。

彼らが伝説的マーケティングの天才かつ名高い
コピーライターであるクロード・ホプキンズを雇ったのは
その時です。
ホプキンズはストーリーを探し 求めて、
醸造所を訪れるために、
はるばるウィスコンシンまで旅に出ました。

ストーリーとは、そのビールに関する
現在の認識を変えるもの、
また、シュリッツ・ビールを飲むべきビールとして
位置付けるもの、
市場および消費者に共感を与えるものです。
ストーリーとは、彼が市場と共有することのできる
コア・ストーリーとしての役割を果たすものです。

当時の全ビール醸造者は『純粋』を強調していた。
彼らは『純粋』という語を大きな文字で記していた。
その主張は、水がカモの印象を与えるのと
同じくらいの印象を人々に与えた。

私は醸造の科学を学ぶために醸造の学校に通ったが、
それは少しも役に立たなかった。
それで醸造所に行った。
ビールがパイプ上に滴っている板ガラスの部屋を見て、
私はその理由を尋ねた。
これらの部屋は、ビールが純度をもって冷却されるように
ろ過空気で満たされていると彼らは教えてくれた。

私は木材パルプで満たされた素晴らしいフィルターを見た。
彼らはそれがどのようにビールをろ過するのか
説明してくれた。

汚染を防ぐために一日に二回、どのようにして
すべてのポンプとパイプを消毒するのか、
どのようにして機械ですべてのボトルを4回清潔にするのか、
彼らは見せてくれた。
彼らの醸造所はミシガン湖に位置するにもかかわらず、
純水を得るための深さ4000フィートに達する
アルトワ式井戸を彼らは見せてくれた。

彼らは、ビールが利用者に出荷される前に
6ヶ月間熟成される大樽を見せてくれた。
彼らは私を製造所に案内し、
オリジナルな酵母細胞を見せてくれた。
それは最高度の風味を引き出すために
1200回の実験を経て開発されたものである。
シュリッツ・ビールを製造するのに使用される
すべての酵母は、
そのオリジナル細胞から発達したものである。

私は驚嘆して事務所に戻り、尋ねた。
「何故、こうしたことを人々に伝えないのですか?
何故、自社のビールは純水であるということを
他社よりも大きな声で強調しようとするだけなのですか?
何 故、その理由を伝えないのですか?」
「何のためにですか」と彼らは言いました。
「我々が利用しているプロセスは
他社が利用しているも のと全く同じなのです。
それなしでは美味しいビールは誰も製造できません」

「しかしですね」私は返答した。
「他社はそのストーリーを伝えたことがないのです。
それはあなた方の醸造所を訪れるすべての人を
驚嘆させるものです。
それは紙上で誰をもアッと驚かせます」

それで、私は紙上でこうした板ガラスの部屋や
純度に関わる他のすべての要因を描写した。
私はすべての優れた醸造所に共通するストーリー、
しかしこれまで伝えられたことのなかった
ストーリー を語った。
私は純粋さに意味を与えた。
シュリッツは、数か月で5位から
一位と肩を並べるまでに躍進した」

さあ、次の点に気付いてください。

シュリッツ・ビールは、そのライバル社よりも
純粋なビールであったわけでは決してありませんでした。
しかし、純粋さを確実にするために
ビール製造者が講じる手段を
一般人に伝えるコア・ストーリーを作り上げた
第一人者になることによって、
ホプキンズは、シュリッツは本当に最も純粋なビールである
と国民全体に確信させたのです。

それ以上に大切なことに、
シュリッツがその主張をしたことによって、
ライバルの醸造所は純度に対する主張をすることが
出来なくなったのです。
お分かりであるように、製品には何の変化もありません。
唯一の変化はストーリーでした。
マーケティングへの
コア・ストーリーの注入であったのです。

最終結果、あっという間に、
シュリッツはアメリカで5番目の売れ行きから、
ナンバーワンに飛躍したのです!

このようにストーリーの力は絶大です。
なので、ぜひあなたも独自のストーリーを
見つけてください。
それをあなたのマーケティングや広告で使えば、
結果は明らかです。

ビジネスは顧客に常にストーリーを語ります。
残念なことに、
大抵の場合、語られているすべてのストーリーは、
使い古された同じストーリーなのです。
しかし、ビジネスがストーリーを語り、
そしてそれが ライバル企業よりも
優れたストーリーである場合は…
多くの場合、販売は急増し、ビジネスは成長し、 
顧客は以前にもましてより忠実になるのです。

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