経済は、人類を幸せにできるか ?

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ダニエル・コーエン

金融危機後の世界において、
経済学が有用な学問であり続けるには、
幸福の問題を避けて通る訳にはいかない。

幸福が感情の問題であって、
定量化や測定には馴染まないモノであったとしても。

経済学は、金融危機の前には幅を利かせていた。  
経済学は、合理性に基づいて個人主義的に行動する人間像を
前提に組み立てられていた。
それが、ホモ・エコノミクス(=経済人)である。

彼らは、ホモ・エシックス(=道徳・倫理的人間)や
ホモ・エンパシス(=共感的人間)との競争に
勝ったと思い込んでいる。

しかし、幸福や人間性の問題を封じ込めてしまった。
最終的には、自らも非合理的となり、衰退の道を歩んでいる。

競争だけで未来を築けると考えるのは、 人類学上の幻想である。
その事に気付き、競争と協力のバランスを考える。
無償と有償の境界を整理する。
文化的多様性の問題に直面する欧州知識人の苦悩は、
グローバル化の波に洗われる日本人にも共有できる筈だ

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