脳科学者、中野信子

脳を育てる刺激には様々ありますが、

代表的なものとして、

たくさんの人に会って対話を交わすことが挙げられます。

それも、毎日同じ顔ぶれに会うより、

新しい友人・知人をどんどん増やしていく方が、

脳にとってよい刺激となり、

神経ネットワークが育っていくのです。

また、自分と同じ職業の人など、

同質性の高い人々とばかり接するより、

いろいろな職業・年齢層・社会階層の人と

たくさん接している人の方が、

脳へのよい刺激が得られるでしょう。

現代人は、電子メールやツイッターなどで、

インターネットを介したバーチャル(仮想的)な対話を

たくさん重ねていますね。

そういう対話もないよりはあった方がよいですが、

実際に会って行う対話に比べると、

脳に与える刺激は格段に少ないでしょう。

なぜなら、人は他者との付き合いにおいて、

言語情報よりも口調や声のトーン、表情などの

「非言語コミュニケーション」から

たくさんの情報を得ているからです。

アメリカの心理学者アルバート・メラビアンの

研究から生まれた「メラビアンの法則」によれば、

話し手が聴き手に与える印象の大きさは、

言語情報が7%、視覚情報(顔の表情など)が55%、

聴覚情報(声のトーンなど)が38%の割合だとされます。

メールなどのネット上のやりとりには

基本的に言語情報しかないので、

その分、脳への刺激も乏しいのです。

付け加えるなら、言葉を交わす人が

ほとんどいないような孤独な生活では、

脳が受ける刺激が乏しい分、

神経ネットワークの成長も抑えられてしまいます。

つまり、みすみす幸福感を感じる機会を

逃してしまうということにもなるのです。

日本が経済的には豊かなのに、

幸福を実感している人が少ない

(各種国際調査の「幸福度ランキング」の順位が、

先進国とは思えないほど低い)のは、

人と人とのつながりが希薄な

いわゆる「無縁社会」化によるところも

大きいのかもしれません。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より