ウーテ・フレーフェルト

感情は人の内側から自然に

湧きあがるものではない。

どの感情を育て、抑え、いつ表出するかは、

社会が求める規範や価値観に規定される。

18世紀以降の欧州に見られた

2つの感情の盛衰史である。

存在意義を失い衰退した代表格が「名誉」だ。

かつて軍隊や貴族といった特定の集団や階層で

重んじられた。

ファシズム国家では自民族の優位性を

唱えるために利用された。

だが、第2次世界大戦後は急速に色あせ、

人類共通の「尊厳」という概念に置き換わった、

18世紀の資本主義やフランス革命のもと生まれ、

19世紀に花開いた「共感」は、

逆に近代に発見された感情だ。

キリスト教の隣人愛から発し、

市民社会の理想と共鳴しながら

奴隷廃止や拷問の撤廃、

国際赤十字の誕生など

人道的な運動を推進する原動力となった。

今は、大国の指導者やポピュリストが

感情をむき出し、

人々の知性よりも情緒に訴えようとしている。

思考停止した先の未来は暗い。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より