企業がデジタル化に真剣に取り組まなければならないのは、

それが、生き残るための「必要条件」だからだ。

IT企業や新興企業だけに関係があるわけではない。

この革命は社会全体にあまねく影響を与え、

その恩恵は企業、業界、政府、公的機関に及ぶ。

全ての企業がデジタル化から逃れられないし、

むしろ既存企業は真っ先にデジタル化に

取り組まなければならない。

特に長い歴史を持ち、確固たるビジネスモデルを確立し、

優れたオペレーションを有し、

業界でリーダーとなっているような企業は緊急性が高い。

そういった現在の優良企業が生き残るためには、

デジタル化が必須だからだ。

現在成功しているビジネスモデルや市場を

自らがディスラプターとなって破壊し、

その結果として市場で勝ち残っていけるような未来を

実現するために、デジタル化は絶対に必要だ。

近年、データ保存の1バイト当たりコストが

驚くべきスピードで下がり、

保存可能なデータ量とデータ処理量が飛躍的に増えた。

このデータ量の爆発的な増加が、

未来の形を大きく根本から変えていく。

例えば、様々なデバイスが相互に結びつく

IOT(インターネット・オブ・シングス)を見てみよう。

現在の接続デバイス数は49億台に過ぎないが、

これが2020年までに10倍以上の500億台になることが

予想されている。

AI分野においては、データ量の増加による

ディープラーニングの進展によって、

2030年までにコンピューターの演算能力が

人間の脳と同等レベルになるとされている。

現在、企業が行っている業務の70%は自動化され、

AIやロボットが担うことになる。

日本の大企業の多くは、長年にわたって成功を収めてきた。

だがこの激変を前に、今までの成功体験を捨て、

ビジネスモデルを再構築することが不可避となっている。

新しいビジネスモデルでは、

企業の根幹(コア)部分も変える必要がある。

1.オペレーショナルプロセス

どのように開発、製造、購買、メンテナンスなどを行うのか

2.コマーシャルプロセス

どのように顧客や消費者にアプローチし、

商品・サービス・付加価値を提供していくのか

3.バックオフィスプロセス

それを支える業務部門はどうあるべきか

全てを再構築しなければならないのだ。

デジタル化は新しいチャンスや機会を企業にもたらす。

だが乗り遅れれば、企業に大きな課題を突き付ける。

そしてデジタル化のスピードは指数関数的に加速しており、

ハイテク業界に見られたように

勝ち組と負け組がすぐに決まってしまう。

「周りが何をやっているのか見て決める」という

様子見ができるような生易しい状態でない。

今すぐにアクションを起こすか、ディスラプトされるかだ。

まず、全ての企業はデジタル戦略を持たななければならない。

その中で、自分たちばどの市場のどこで

ディスラプションを起こすのかを明確にすべきだ。

また、バリューチェーンのどこに脅威があり、

どこにチャンスがあるのかを探し出す。

そして、自分たちが保有するデータを明確にして、

そこからどのような競争優位性を引き出せるのかを考える。

どのようなデータアセットがあり、

どのようなユースケースがあり、

どのようなエコシステムが形成できるのか?

こういったことをデジタル戦略に書き込むことによって、

IOTとデジタル化の競争のなかで、

勝ち組として生き残る方法を考えなかければならない。

残された時間は、限られている。

デジタル化に真剣に取り組むこと…

いくつになっても、学び続けることが今ほど必要な時代はない。

エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より