イリス・ボネット
男女不平等をどうしたら解決できるか
人間は偏見や習慣に捉われた存在だ。
単純に自制を有利に扱うといった方法は
デザインとして必ずしも上手く行かない。
ボストン交響楽団の採用試験では、
演奏者を審査員に見えないようにカーテンをした。
すると、女性演奏家の割合は5%から
35%以上になった。
偏見に満ちた人間心理の深部を分析し、
行動を変える対策をデザインしなくてはならない。
インドの伝統的社会では女子に
十分な教育や健康配慮が与えられない懸念がある。
しかし、コールセンターが設立され
女性の就業が進んだ地域では、
女子の就学率や健康が向上した。
女子の雇用機会が増える事で
人々の認識が変わった結果だ。
時にはデータそのものに慎重な見方がいる。
男性よりも女性の業績が悪いという
データを掘り下げて分析し、
女性が、そもそも良い顧客を与えられていなかった
という原因を突き止めた事例もある。
性差もあり、それもデザインに織り込む必要がある。
女性はリスク回避志向が高い。
米国の大学入試に使われるSATで
間違いを減点しないように採点方法を変えると
男性の平均点が大幅に上昇した。
男性トレーダーだけで取引をさせると
女性トレーダーだけの取引よりも
投機バブルを引き起こしやすいという実験結果もある。
日本では、男女共同参画がなかなか進まない。
「女性取締役が少ない」ではなく、
「大企業の3分の2に女性取締役がいます」と
ポジティブなメッセージによって規範を作り
女性取締役が一気に増えた英国の例を見よう。
行動科学に基づくデザインの余地はまだまだ大きい。
エンジンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾より