52歳から始めるひとりビジネス』

大江千里

あの頃のように上昇気流に乗れていない自分が、

平行棒の上をずっと同じ速度で

よちよち歩きをしているように感じるときがある

人生は充実感よりはむしろ不安のほうが多く用意されていて、

それをどれだけプラスに変換できるかで

光の分量は大きく変わってくるのだなと思うようになった

バブルの旨味を体験した僕は、

その頃の日本で息つく暇もないほどツアーで

全国を回っていた。

あちこちで頂くギフトを丁寧に開ける時間もなく、

次のツアーに飛び出てしまう。

歯磨き粉もシャンプーも石鹸も最後まで使うことはなく、

いつもものに溢れ、縛られ、

シンプルになるタイミングを失っていた。

そんな時代が終息し、

みるみる「本当の価値観、生き方」を問われることになる

「いっそ日本の口座にあるお金で

早めに2LDKくらいのアパートを買って、

部屋の一つをルームメイトに貸し

家賃収入を得るのはどうだろう?」

そんな悪魔の囁きが聞こえてくる。

それはそれで楽しい妄想でなくもないのだが、

「目に見えない心の自由」こそが最も高価な宝物なのだ。

たくさんの荷物を捨ててNYに

裸一貫でやって来て手に入れた

「フットワーク」と「身の軽さ」を簡単に手放す必要はない。

アンテナがそう働き、ブルブルと頭を振った

■起業するに当たり、決めた起業のルール

1.利益の出ないことをやらない

2.志は高く

3.先行投資

4.小売精神の徹底

5.プロに依頼する

20代の頃は10代のすべてが照れ臭くて

そこから逃げたくてうずうずしていた。

背伸びをして、早く一人前の大人として完成されたいと

もがき苦しんだ。

30代は仕事も脂が乗って忙しさのピークを更新しつつ、

心のどこかで一体いつまでこの調子で走り続けるのか? と

いう疑問を抱え疲れ果てていた。

40代になるとはっきりと身体的にも曲がり角という自覚が

芽生え、少しスピードが落ちる。

人との別れを経験し、人生に限りがあること、

そして人生が1回しかないことをはっきり意識し始める。

そんなある日、僕はそれまで束ねていた時間軸を

一気に手放すことになる

奇しくもジャズピアニストとして自分で作曲し、

演奏していこうと決めたのと同じように、

僕は人生を52歳で「ひとりビジネス」の観点から見直し、

次の目標に向かってその畑を「耕し」始めたのだ。

鉢の数はまだ少ないが夢はある

ある程度、富や名声を手に入れた人が人生を変えるのは、

殊の外難しいことだと思います。

映画『グレイテスト・ショーマン』のなかで、

バーナムがカーライルに

“Comfort, the enemy of progress(快適さは進歩の敵だ)”と

言う場面が出てきますが、

著者もそれと必死に戦ったのだと思います。

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