中野信子

本を読めば、脳は活性化する。特に下頭頂小葉(後頭部の頭頂葉の一部)が鍛えられる。ここは、文字を音に変換して物事を理解する所だ。読むべき本のジャンルは、その人の目的や考え方次第でよい。学問を理系・文系などと、カテゴリー分けするのはナンセンスである。様々な視点から分析してこそ、心理に近づけるからだ。

数理社会学は意思決定の仕組みを、社会の観点で見る学問。個人ではなく、社会がどんな決定を導き出したかを分析する。一方、個人の意思決定の仕組みを調べるのは脳科学の分野。個人の場合は、経済合理性ではなくて、気持ちの豊かさを優先して意思決定する人も多いからだ。集団の振る舞いを調べるのが数理社会学で個人の脳を調べるのが脳科学。
異なる学問ですが、集団は個人の集まり。この2つは大きく関わり合っている。

進化心理学では、クジャクの羽の華やかな模様は、異性を惹きつけるためだと説明されている。では、人間にとってクジャクの羽に当たるものは、何でしょう?私は、知性が一つの候補だと思います。知性が優れた人はお金を稼ぐ力が強く、女性を惹きつけると一般的に考えられている。クジャクの羽と役割が似ている。更に似ている点がある。知性を司る前頂葉もクジャクの羽も他の動物には見られない独特の形をしている点だ。
こうした共通点から、人間の前頭葉はクジャクの羽と同じという推論が導ける。

多くの動物は、全身が体毛で覆われているが、サルの顔には体毛が無い。それは、表情でコミュニケーションを取るのに邪魔だからです。
では、なぜ人間は全身の皮膚が露出しているのでしょうか。それは、人間がサル以上にコミュニケーションを必要とする動物だからです。人間の筋力は他の動物に比べて弱い。そんな状況で種を守るために、人間はコミュニケーションによって集団を作ってきた。
皮膚が露出した手で握手するのは、そのためです。人と人の愛着を形成するために欠かせない脳内物質がオキシトシン。握手などによってオキシトシンが分泌され、人間は幸せを感じる事が出来る。その一方で、オキシトシンは妬みの感情を高めます。ネット上で他人を叩く事で幸福感を得る。その行動には、オキシトシンが深くかかわっている。

すべての行動や感情を脳が司っている訳ではないという考えもある。体の反応を脳が受け取り、感情を生み出しているという理論もある。
例えば、人間がガッツポーズを取ると、男性ホルモンであるテストステロンが分泌される。つまり、「行動が先で、脳は後。考えているのは、実はから体なのだ。」という理論だ。

脳科学は様々な学説が成り立つ奥深い世界です。思考力を鍛える滑に、幅広い視点で本を読んでください

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