『遊ぶ鉄工所』

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山本昌作京都の注目企業、HILLTOP株式会社の代表取締役。

同社では、かつて人が機械に張り付く時間が8割だったのが、現在は、デスクでのクリエイティブな時間が8割、機械の前が2割。機械が働くのは人が帰った夜中です。これで利益率が20%を超える。同社の受注の8割は、製作数1~2個の多品種単品。月に3000種類をオーダーメイドで作る、クリエイティブな現場です。知恵を絞って新しいことをやるのは楽しい、同じことの繰り返しは楽しくない。そのことから、同社では既に作ったものをデータベース化し、楽しいことしかしない製造業を目指しているのです。本格的なロボット、AI活用時代に企業がどう変わるべきなのか、これは一つのモデルとして注目すべきケースです。毎日同じ製品を大量生産していた町工場は、「24時間無人加工の夢工場」へと変身。今のヒルトップに、油まみれで働く社員は、一人もいません・「量産ものは、やらない」・「ルーティン作業は、やらない」・「職人は、つくらない」普通の鉄工所の場合、就業時間の8割が機械の前、2割がデスク仕事ですが、ヒルトップではこの割合を逆にしました。昼間は、デスクで人がプログラムをつくる。人が帰った夜中に、機械に働いてもらいます当社では、1社依存率を30%以下にとどめています。取引先を分散すれば、1社失っても倒産リスクを回避できますこれからは、「ものづくりをしない製造業」が生まれる可能性がある「利益」を追いかけるのではなく、「人の成長」を追いかける日本の大企業(親会社)が採用する「ジャストインタイム生産方式」も、下請いじめの一つウィン・ウィンの相手とだけ取引

■データベース化までの流れ
(1)加工作業の細分化、分類
(2)職人への聞き取り
(3)職人同士の意見、考えのすり合わせ
(4)当社標準データの作成、保存、共有
(5)作業環境の整理整頓(決まった場所に決まったツールを配置)

会社の中のあらゆるもの、刃物やボルト1本に至るまで番号づけして、すべてに細かく「番地」をつけた
次に、職人一人ひとりがバラバラに持っていた機械セッティングやプログラミングのノウハウを全部吐き出させて、統一基準となる標準値を定めました

■ジョブ・ローテーションを行う3つの理由
(1)モチベーションの低下を防ぐ
(2)社内にノウハウ、ナレッジが蓄積される
(3)社員の「引き出し」が増える

「職人は、つくらない」というのは、「獺祭」で有名な旭酒造と一緒で、これから伸びる製造業の条件だ。これまでの常識にあぐらをかくのではなく、積極的に人間らしい職場を追求していく。常識に挑む。そんな姿勢から、21世紀の優良企業が生まれるのかも知れない。ルーチン化した仕事をいかにしてロボット、AIに任せるか。

エンシンオイル、メーカー、OEM仲間の経営塾

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